著者
中井川 昇 寺島 和光 安達 昌功 立花 克彦
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.695-697, 1996-09

生後0日目入院,男.在胎37週1日,後頭位自然分娩で,生下時2,300gであったが陰茎欠損に気付いて即日転科入院した.陰茎は根部から欠損して陰起もみられないが,陰嚢は2分陰嚢状で,腹部超音波で陰嚢内に正常精嚢があり,核型46XY.膀胱尿道造影で膀胱は正常であったが右膀胱尿管逆流IIを認めた.後部尿道,外尿道括約筋部は正常.女性内性器を認めなかった.両親と協議の末,2ヵ月後に両側精巣摘除,陰嚢切除を施行し,女児として養育することとした.陰茎欠損症の報告は日本で本例を含め7例と稀である.男として成長するより,女児として養育する方が社会的,心理的負担は少いと思われ,将来腟形成行を行う予定である
著者
槙山 和秀 中井川 昇 村上 貴之 林 成彦 佐野 太 河原 崇司 関口 善吉 窪田 吉信
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.721-725, 2010 (Released:2012-03-16)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

(目的) 腹腔鏡下膀胱全摘除術(LRC)は従来の開腹膀胱全摘除術(ORC)と比較し,周術期にメリットがあるか否か検討した. (対象と方法) 横浜市立大学付属病院で膀胱全摘除術を施行した連続した22例を対象とした.2008年2月から2009年5月に施行したLRC 11例と,2006年10月から2009年4月に施行したORC 11例の周術期成績を比較した. (結果) 平均手術時間はLRC 521分,ORC 428分で有意にLRCが長かった(p=0.00794).平均出血量はLRC 801ml,ORC 2,156mlでLRCが有意に少なかった(p=0.0014).術後食事開始日の平均はLRC 4.6日目,ORC 9.3日目で有意にLRCが早期に食事開始できた(p=0.0142).術後最大C反応性蛋白(CRP)の平均はLRC 10.8mg/dl,ORC 16.6mg/dlで有意にLRCが低かった(p=0.0124).合併症発生率はLRC 27%,ORC 45%で有意な差はなかった(p=0.375).平均郭清リンパ節数はLRC 10.9個,ORC 13.7個で有意な差はなかった(p=0.262). (結論) LRCはORCに比べて,有意に手術時間は長いが,出血量は少なく,食事開始時期が早く,術後CRPのピークは低い.したがって,LRCはより低侵襲であり,術後早期にはメリットのある術式である.