著者
渡部 喬之 佐野 太基 牧野 亜由美 酒井 健 川崎 恵吉
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.788-793, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
17

今回,フォーカルジストニアに罹患したプロピアニストの女性を担当した.事例は40歳代右利きの女性で,国内でのコンサート活動を主に行うプロピアニストである.演奏時の手の様子は,徐々に右の中指と環指が屈曲傾向となり,代償指として示指,小指の過伸展を認め,演奏継続が困難であった.代償指の過伸展予防,ジストニア指の固定を目的としたスプリントを作成し,段階的にスプリント装着下での演奏練習を継続した結果,介入123日目にはほぼ正常な演奏が可能となった.スプリント療法を行うことで代償指の過度な収縮を抑制し,求心路への適切な感覚入力を繰り返したことが効果的であったと考える.
著者
齋藤 政彦 山田 泰彦 太田 泰広 望月 拓郎 吉岡 康太 Rossman W.F 野海 正俊 大仁田 義裕 三井 健太郎 佐野 太郎 小池 達也
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2017-05-31

本年度は、代数曲線上定義された放物接続や放物Higgs束のモジュライ空間の代数幾何学的構造の研究を継続して行った。また、付随するリーマン・ヒルベルト対応の幾何学、モノドロミー保存変形の微分方程式のパンルヴェ性などについても研究を行った。特に、現在残された一般の分岐的不確定特異点を持つ場合のモジュライ問題の設定、モジュライ空間の構成、次元公式、非特異性、シンプレクテック構造などについては、稲場がすでにプレプリント「Moduli Spacs of irregular singular parbolic connections of generic ramified type on a smooth projctive curve」において、肯定的な解答を得ている。また、確定特異点でスペクトル型を固定したときのモジュライ空間の構成、モノドロミー保存変形に関わる方程式のパンルヴェ性の証明についての論文を出版する予定である。岩木・小池は位相的漸化式とWKB解析の関係において、具体例による研究を進め、新しい例を構成しつつある。名古屋は、第6q差分パンルヴェ方程式のタウ関数がq共形ブロックでフーリエ展開で得られるという結果を得て、論文を発表した。また、この分野の国際研究集会を11月に神戸大学で開催した。望月は、円周と複素直線上の特異モノポールについて、色々な角度から研究し、新たな結果を得た。大仁田は、微分幾何学と可積分系の関係、特に調和写像の分類問題を研究した。山田は、多変数モノドロミー保存変形について、パンルヴェ方程式の退化や、パデ法の応用研究を行った。入谷はトーリック軌道体の標準類を保たない双有理変形の下での量子コホモロジーD加群の変化を研究した。また高種数グロモフ・ウイッテンポテンシャルの保型性を調べた。細野は、カラビ・ヤウ多様体のミラー対称性について詳細な研究を行った。
著者
西本 登志 矢澤 進 浅尾 浩史 佐野 太郎 安川 人央 皆巳 大輔 東井 君枝 矢奥 泰章 杉山 立志 平野 博人
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.483-489, 2018 (Released:2018-12-31)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

カプシノイドを含有し,食味がよいトウガラシの新品種‘HC3-6-10-11’を育成した.カプシノイドを含有する良食味品種の‘ひも’を種子親,カプシノイドを高含有しカプサイシノイド含有量が少ない‘CH-19甘’を花粉親とする交雑後代から選抜し,F8世代で固定を確認した.特性調査と現地適応性検定試験を経て2015年に品種登録出願を行い,2017年に品種登録された.‘HC3-6-10-11’は,果実重量が6 g前後であり,雨除け栽培では,‘甘とう美人’や‘サラダ甘長’と同等以上の果実収穫量が得られた.2014年の果実のカプシノイド含有量は1956 μg・g–1DWであった.果実生産は奈良県内に限られ,未熟果のみ販売が可能であり,販売先を飲食店と加工業者に限定している.
著者
槙山 和秀 中井川 昇 村上 貴之 林 成彦 佐野 太 河原 崇司 関口 善吉 窪田 吉信
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.721-725, 2010 (Released:2012-03-16)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

(目的) 腹腔鏡下膀胱全摘除術(LRC)は従来の開腹膀胱全摘除術(ORC)と比較し,周術期にメリットがあるか否か検討した. (対象と方法) 横浜市立大学付属病院で膀胱全摘除術を施行した連続した22例を対象とした.2008年2月から2009年5月に施行したLRC 11例と,2006年10月から2009年4月に施行したORC 11例の周術期成績を比較した. (結果) 平均手術時間はLRC 521分,ORC 428分で有意にLRCが長かった(p=0.00794).平均出血量はLRC 801ml,ORC 2,156mlでLRCが有意に少なかった(p=0.0014).術後食事開始日の平均はLRC 4.6日目,ORC 9.3日目で有意にLRCが早期に食事開始できた(p=0.0142).術後最大C反応性蛋白(CRP)の平均はLRC 10.8mg/dl,ORC 16.6mg/dlで有意にLRCが低かった(p=0.0124).合併症発生率はLRC 27%,ORC 45%で有意な差はなかった(p=0.375).平均郭清リンパ節数はLRC 10.9個,ORC 13.7個で有意な差はなかった(p=0.262). (結論) LRCはORCに比べて,有意に手術時間は長いが,出血量は少なく,食事開始時期が早く,術後CRPのピークは低い.したがって,LRCはより低侵襲であり,術後早期にはメリットのある術式である.
著者
槙山 和秀 藤浪 潔 鈴木 康太郎 杉浦 晋平 寺西 淳一 佐野 太 斎藤 和男 野口 和美 窪田 吉信
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.669-674, 2004-05-20
参考文献数
12
被引用文献数
2

(目的) 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター泌尿器科では後腹膜鏡下根治的腎摘除術を2002年5月から開始した. 当院で採用した術式により3名の術者が安全に後腹膜鏡手術を施行可能であったので, その手術成績を検討した.<br>(対象と方法) 2002年5月から2003年6月までに当院で腎細胞癌の診断で後腹膜鏡下根治的腎摘除術を施行した14例を対象とした. 術式は側臥位で, 6cmの腰部斜切開で後腹膜腔にアプローチ. 円錐外側筋膜を腎下極レベルまで切開, 尿管を確保し, Gerota 筋膜と腹膜, Gerota 筋膜と腸腰筋の間を鏡視下でメルクマールになるように剥離したうえで, 小切開に hand port device を装着し12mmトロッカーを3本留置し, 気腹して後腹膜鏡下に根治的腎摘除術を施行. 先の6cmの切開創から腎を摘出する. 本術式の手術成績を検討した.<br>(結果) 平均手術時間は244.4分, 平均出血量は, 217.9mlだった. 1例は出血のため, 1例は小動脈の処理が不十分と思われたために開放手術に移行したが, 輸血を施行した症例はなかった. 大きな合併症も認めなかった.<br>(結論) 本術式で3名の術者が安全に後腹膜鏡下根治的腎摘除術を施行し得た.
著者
齋藤 政彦 山田 泰彦 太田 泰広 望月 拓郎 吉岡 康太 野海 正俊 野呂 正行 小池 達也 稲場 道明 森 重文 向井 茂 岩崎 克則 金子 昌信 原岡 喜重 並河 良典 石井 亮 藤野 修 細野 忍 松下 大介 阿部 健 入谷 寛 戸田 幸伸 中島 啓 中村 郁 谷口 隆 小野 薫 ラスマン ウェイン 三井 健太郎 佐野 太郎
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

不分岐な不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間の構成,リーマン・ヒルベルト対応の研究により,対応するモノドロミー保存変形の幾何学を確立した.また,混合ツイスターD加群の理論の整備,可積分系の幾何学的研究において種々の成果を得た.高次元代数幾何学においては,端末的3次元射影多様体のある種の端収縮射の分類や, コンパクトケーラー多様体の標準環の有限生成性などの基本的結果のほか,モジュライ理論,シンプレクテック多様体に関する種々の成果を得た.量子コホモロジーの数学的定式化や,ミラー対称性の数学的理解についても大きな成果を得た.また,代数多様体の層の導来圏に関する研究においても種々の成果を得た.
著者
西本 登志 信岡 尚 前川 寛之 後藤 公美 東井 君枝 泰松 恒男 木矢 博之 吉村 あみ 平山 喜彦 峯岸 正好 佐野 太郎 米田 祥二
出版者
奈良県農業総合センター
雑誌
奈良県農業総合センター研究報告 (ISSN:18821944)
巻号頁・発行日
no.41, pp.1-10, 2010-03

'古都華'は、2002年に奈良県農業総合センター育成系統の'7-3-1'に'紅ほっぺ'を交配し得られた実生個体から選抜されたイチゴの新品種であり、2009年に品種登録出願し、同年に出願公表された。特性は以下の通りである。1.花芽分化期は、'アスカルビー'より僅かに早い。促成栽培作型における開花期は'アスカルビー'より早く、'章姫'より遅い。2.促成栽培作型における収量は、'アスカルビー'と比較して80〜95%、'章姫'と比較して65〜80%と少なく、15g以上の正常果の収穫果重は'アスカルビー'と比較して同等以上である。3.果実の糖度、酸度および硬度は収穫期間を通して高い。4.促成栽培作型における草高と草丈は、12月は'アスカルビー'並びに'章姫'と同程度であるが、厳寒期の2月には'アスカルビー'と比較して明らかに大きい。5.花房は長く、伸長促進のためのジベレリン処理は必要としない。6.二酸化炭素施用を行うことで20%近い収量増が見込まれる。7.おがくずを培地とする雨除け下のベンチ無仮植育苗では、ランナーと子苗の発生がやや少ない。8.ランナー発生から判断される休眠覚醒に要する5℃以下低温遭遇時間は'女峰'と同程度である。9.萎黄病、うどんこ病および炭疽病のいずれに対しても抵抗性を有しない。