著者
中前栄八郎 多田村 克己 西田友是
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.1077-1085, 1986-11-15
被引用文献数
1

本論文は 光の鏡面反射・屈折を考慮する必要のある物体を含む画像を表示するための手法として 処理の速いスキャンラィン法を基本とし 局所的にレイトレーシング法を適用する手法を提案するものである.レイトレーシング法は 光の鏡面反射・屈折を考慮することが可能なことや 各種形状の物体を取り扱えるメリットがある一方 一般に探索する光線と物体との交点を求めるために膨大な計算時間を必要とする欠点がある.そこで 外接箱(bounding box)を用いてこの計算量を節減する手法が開発されている.しかし この手法は 光源数が増すにつれ 影の計算時間が大きな割合を占める欠点がある.これらの問題を解決し 光の鏡面反射・屈折を考慮する必要のある物体を含む画像を高速に表示するために 次のような特徴を持つ手法を提案する.1)レイトレーシング法は鏡面反射や屈折を考慮する物体のみに適用する.この際 可視面(視点からの光線と最初に交わる面)は スキャンライン法によって容易に求められるから レイトレーシング法を適用する領域を容易に局所化することができる.2)レイトレーシング法を適用する際の視点からの光線の探索および形の処理に 外接箱と影空間(shadow volume)を用いる.これにより 計算点に他の物体が影を落とすか否かの判定を高速化できる.
著者
山下 英生 上甲 達也 中前栄八郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.570-580, 1991-05-15
被引用文献数
5

数値解析シミュレーションの対象はより複雑化 多次元化し 解析結果の可視化の必要性はますます増大している.3次元交流定常場における磁束密度と渦電流のように 相互に作用する物理量は時間の経過とともに複雑な振舞いをする.このような二つの物理量の相互作用の理解のためには 両者の時空間における現象を 同時に観察することが望ましい本論文では 交流定常場における1サイクル間の瞬時密度分布の観察に グラフィックスワークステーションを利用した可視化法について提案する.すなわち 密度分布の瞬時値の高速算出法を用いて 相互に作用する物理畳を観察する三つのステレオ表示法を提案し 相互作用の観察を容易にする操作性に優れた会話処理機能について提案している.本可視化法の特徴は以下のとおりである.(1)相互に作用する複数の物理量に関して 時間的変化を観察するためのアニメーション表示 異なる時刻の相違を観察する並列同時表示 および指定された2時刻における密度分布の微妙な差を観察する切り替え表示法が準備されており 観察者は必要に応じて適宜速やかに辺択できるので 相互作用の詳細な観察が可能である.(2)時間的に変化する3次元空間の相互作用を 観察者のその時々の意志のおもむくままに 自在に かつ即応的に 望む方向および距離から 望む断面の分布状況を観察できる操作機能を持っている.