著者
石井 靖子 中原 久恵 服部 滋 川端 晶子 中村 道徳
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.32-37, 1995-01-15
参考文献数
13
被引用文献数
1

熱帯産澱粉,すなわち,ショクヨウカンナ,アロールート,キャッサバ,サゴの澱粉と対照としてバレイショとトウモロコシの澱粉を選び,それらより分離したアミロペクチンにつき枝切り酵素であるイソアミラーゼを作用させて,その変化を検討した.すなわち光散乱法により重量平均分子量M<SUB>W</SUB>と分子の広がりを示す慣性半径<I>R</I><SUB>G</SUB>の測定,粘度測定により固有粘度〔η〕を算出し,枝切り過程の変化を測定した.<BR>その結果M<SUB>W</SUB>と<I>R</I><SUB>G</SUB>の関係は,M<SUB>W</SUB>が(4-5)×10<SUP>6</SUP>近辺に減少する過程では,M<SUB>W</SUB>に対して<I>R</I><SUB>G</SUB>がやや大きいもの(キャッサバ,トウモロコシ),小さいもの(サゴ),両者の中間のもの(バレイショ,ショクヨウカンナ,アロールート)が認められた.しかし6種とも近接し同じ様な勾配で減少していることから,6種ともM<SUB>W</SUB>の減少に対する<I>R</I><SUB>G</SUB>の減少の割合は大きな差はみられず,従って同じような分解過程を経ていくものと思われる.<BR>更に分解が進むと,ばらつきが起こり差が見られた.またM<SUB>W</SUB>や「η」の減少速度には,種類により差があり,イソアミラーゼが作用しやすいものと,しにくいものがあるようである.