著者
藤田 浩二 岩崎 安博 宮本 恭兵 米満 尚史 八子 理恵 上田 健太郎 中尾 直之 加藤 正哉
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency
雑誌
NEUROSURGICAL EMERGENCY (ISSN:13426214)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.165-173, 2020 (Released:2020-12-23)
参考文献数
13

和歌山県では和歌山県立医科大学附属病院(以下,当院)に2003年1月からドクターヘリが導入され,積極的な救急医療活動を展開している.当院を起点としたドクターヘリが脳梗塞治療に寄与しているかを検証すべく,2011年7月より2017年12月の6.5年間で当院救急外来に搬送,入院に至った脳梗塞症例1479例を搬送手段別にドクターヘリ113例,救急車1039例,直接来院327例の3群に分け患者背景,治療成績を検討した.来院時年齢はドクターヘリ群(平均79.3歳)が他の2群に比し有意に高齢,病型はドクターヘリ群が脳塞栓(60.2%),直接来院群はラクナ梗塞(51.7%)が有意に高頻度であった.来院時NIHSSもドクターヘリ群(平均15.8)が他群に比し有意に高く,来院時重症であった.発症から来院までの時間はドクターヘリ群が有意に短く(平均210.3分),その結果アルテプラーゼ静注療法や急性期血行再建術の施行頻度も他群に比し有意に高かった.また和歌山県内を2次保健医療圏別に分け解析すると,ある医療圏では過半数の症例で当該医療圏内への患者病院搬送後に,当地の医師の判断で高次の治療目的に当院へのドクターヘリ搬送を要請,すなわち施設間搬送がなされていた.その一方で別の医療圏では施設間搬送依頼は極めて少なく,ほとんどが現着した初動救急救命士の判断で現場よりドクターヘリが要請されていた.このように医療圏によりドクターヘリ要請目的が大きく異なることが明らかとなった.本検討で和歌山県ドクターヘリは,遠隔地域の脳梗塞患者に対するアルテプラーゼ静注療法や血行再建術等の早期治療介入に寄与していたことがわかった.和歌山県ドクターヘリが拠点病院を核とする脳卒中診療体制を補完するには,地域毎に異なるドクターヘリ要請目的に応需する“柔軟性”の継続が重要である.
著者
板倉 徹 西林 宏起 中尾 直之
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.156-162, 2008-06-30 (Released:2009-07-01)
参考文献数
6

言語関連野と頭頂葉連合野に病変を患者19 例に対して,術中覚醒下に大脳皮質を刺激してその反応を観察した。男性15 例女性4 例で年齢は18 歳から72 歳。腫瘍はグリオーマが14 例,転移性脳腫瘍が4 例,その他1 例であった。覚醒手術はプロポフォール麻酔下に皮膚切開と開頭を行い,その後覚醒下に皮質刺激を行った。言語関連野の術中刺激による反応は症例によるばらつきが著しかった。ただBroca 野やWernicke 野の刺激では言語停止が多くみられ,それぞれの近傍では言語の保続が観察されることが多かった。頭頂葉の術中刺激では右側では半側空間無視などは観察されなかった。左頭頂葉の刺激では肢節運動失行,手指失認,構成障害,口腔顔面失行や観念運動失行が皮質刺激で一過性に観察された。