- 著者
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依田 八治
中山 一栄
遊佐 智栄
佐藤 重男
福田 三五郎
松本 幸蔵
中川 雅郎
- 出版者
- 公益社団法人 日本実験動物学会
- 雑誌
- 実験動物 (ISSN:00075124)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.1, pp.7-11, 1976 (Released:2010-08-25)
- 参考文献数
- 24
- 被引用文献数
-
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種々の動物におけるBordetella bronchisepticaの分布を知る目的で, 過去10年間にわたりマウス, ラット, スナネズミ, ゴールデンハムスター, モルモット, ウサギ, イヌ, ネコ, カニクイサルの呼吸器について本菌の検索を試みた。その結果, マウス, スナネズミ, ゴールデンハムスターはいずれも陰性であったが, 他の動物種からはすべて本菌が分離された。すなわち, ラットでは7/25 (28.0%) コロニーから菌が分離され, これらのコロニーにおける陽性個体の検出率は10.0~61.3% (平均50.0%) であった。モルモットでは22/60 (36.7%) コロニーが本菌に汚染し, 各コロニーにおける陽性個体の検出率は6.7~58.2% (平均18.3%) を示した。ウサギの場合は被検個体の由来によって検出率に大きな差がみられ, 一般農家から集めたウサギでは3.0%が陽性であったのに反して, 実験動物として比較的大きな規模で生産されたコロニーでは51.5~77.2%の高い陽性率を示した。イヌ, ネコは一般家庭で愛玩動物として飼育していたものを検査の対象にしたが, 前者では12/226 (5.3%) 匹, 後者では4/126 (3.2%) 匹より本菌が検出された。サルについては, 健康な動物の気管で3/48 (6.3%) 匹が陽性であったが, 肺病変を有するものについて病変部の培養を行ってみると16/39 (41.0%) 匹より本菌が分離された。