著者
深沢 潔 安藤 弘 中山 孝一 高橋 比路美 新保 敏和
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.31-37, 1987-02-28 (Released:2009-01-22)
参考文献数
35

NK細胞は生体内で腫瘍細胞やウイルス感染細胞などの破壊に働くと考えられている.したがって, NK細胞も他のリンパ球サブセットと同様に生体内の免疫監視機構の制御を受けていると推察されるので, NK細胞への抑制因子の検討を行った.白血球混合培養(MLC, one-way)の上清中には種々のリンパ球活性に対する抑制因子が含まれているが,培養72時間のMLC上清にNK抑制活性が検出された.この抑制はMLCの反応細胞とautologousなNK細胞に対して,またはallogeneicなNK細胞に対しても同等な活性であった.泌尿器系癌患者から得たMLC上清を健康成人のNK細胞に加えてその影響をみたところ,前立腺癌(M0)と腎癌(M0, M1)でそのNK抑制活性が低下していた.一方,健康成人由来のMLC上清に対する癌患者NK細胞の感受性は膀胱癌,前立腺癌,腎癌のほぼ全例において欠如していた.