著者
中山 秀紀 樋口 進
出版者
大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
雑誌
子どものこころと脳の発達 (ISSN:21851417)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.11-16, 2020 (Released:2020-09-24)
参考文献数
41

近年インターネットやゲームの依存的使用が重大な問題になっている.特にゲームの問題使用に関しては,インターネットゲーム障害(IGD)や,ゲーム障害(症)として,DSM-5やICD-11の中の診断基準に盛り込まれるようになった.そして思春期世代のIGDが疑われる人は1.2–5.9%の間と推計されている.インターネットやゲームの依存的使用は,注意欠如多動性症や精神症状の悪化,睡眠問題との関連が指摘されている.治療として,認知行動療法などの心理・精神療法や,合併精神疾患(発達障害)に対する治療,また心理療法やアクティビティなどを組み合わせた治療キャンプなども試みられている.特に発達障害やその傾向にある人ではリスクが増大するようであり,保護者等への啓発や療育の役割は大きいと考えられる.子どもたちの健全な育成のために,多くの関係諸機関が連携して予防的,治療的取り組みが進められることが望まれる.
著者
中山 秀紀 樋口 進
出版者
大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
雑誌
子どものこころと脳の発達 (ISSN:21851417)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.11-16, 2020

<p>近年インターネットやゲームの依存的使用が重大な問題になっている.特にゲームの問題使用に関しては,インターネットゲーム障害(IGD)や,ゲーム障害(症)として,DSM-5やICD-11の中の診断基準に盛り込まれるようになった.そして思春期世代のIGDが疑われる人は1.2–5.9%の間と推計されている.インターネットやゲームの依存的使用は,注意欠如多動性症や精神症状の悪化,睡眠問題との関連が指摘されている.治療として,認知行動療法などの心理・精神療法や,合併精神疾患(発達障害)に対する治療,また心理療法やアクティビティなどを組み合わせた治療キャンプなども試みられている.特に発達障害やその傾向にある人ではリスクが増大するようであり,保護者等への啓発や療育の役割は大きいと考えられる.子どもたちの健全な育成のために,多くの関係諸機関が連携して予防的,治療的取り組みが進められることが望まれる.</p>
著者
中山 秀紀
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1343-1352, 2015-12-01 (Released:2017-08-01)

近年インターネット機器の急速な普及に伴い,依存的な使用による重大な社会的・健康問題が話題になりつつある.2012年の調査では,中高生の約52万人にインターネット依存が疑われると推計されている.インターネット依存は世界的にも疾患ととらえる方向にある.インターネット依存にはうつ病や不安性障害,強迫性障害,睡眠障害などの精神疾患や注意欠陥多動障害などの発達障害を合併することが多い.治療は認知行動療法をはじめとした心理療法や,合併する精神疾患には薬物療法も用いられ,治療キャンプのようなリハビリテーションも行われる.依存性疾患は予防的対処が重要であり,家庭,医療,教育,行政機関がそれぞれ協力してインターネット依存に対処する必要がある.