著者
加藤 治雄 中山 謙二 平野 晃宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.319, pp.91-96, 2006-10-20

信号源数がセンサ数より多いオーバーコンプリート形ブラインド信号源分離(BSS)で,信号源の完全分離は困難という問題に対して,我々はフィードバック形の回路構成と学習法を既に提案している.まず,1個の信号源が複数の出力に含まれないことを分離の条件として,1巡目の信号源分離を行ない,少なくとも1個の出力に単一信号源を分離する.この出力を観測信号にフィードバックして,観測信号から単一信号源をキャンセルすることにより,等価的に信号源数を低減する.単一信号源のキャンセル法として,当該出力と推定した混合過程の情報を使ってキャンセルする他,観測信号のヒストグラムを使ってキャンセルする方法を組み合わせる.本稿ではさらに,フィードバックにより生じる信号歪みの問題に対して,スペクトルサプレッション法を導入することにより,信号歪みを抑制する.2巡目の信号源分離では,観測信号に含まれる信号源が1個少ない状態で1巡目とは異なる学習法により処理を行なう.信号源として音声を用いたシミュレーションにより,提案方法の有効性を確認した.
著者
加藤 治雄 中山 謙二 平野 晃宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.22, pp.49-54, 2006-04-14

本稿では,信号源の数がセンサ数より多いオーバーコンプリート・ブラインド信号源分離においてフィードバック形構成法と分離回路の学習アルゴリズムを提案する.まず,1巡目で信号源の分離を行う.ここでは,一つの信号源が複数の出力に含まれないことを分離の条件とする.このための学習法を提案している.センサ数を信号源数の約半分以上とすることにより,1巡目の信号源分離で少なくとも1個の出力に単一信号源を分離できる.この出力を単一信号源の特徴を利用して検出する.更に,この出力をフィードバックして観測信号からキャンセルすることにより,等価的に信号源の数を低減する.当該出力と混合過程の情報を使ってキャンセルする他,観測信号と当該出力のヒストグラムを使ってキャンセルする方法を組み合わせることにより,条件不足の問題を解消する.2巡目では,観測信号に含まれる信号源が1個少ない状態で1巡目と同じ処理を行う.このように,提案法では,観測信号における信号源の数を1個ずつ減らしながら信号源分離を繰り返す.信号源として音声を用いたシミュレーションにより,従来法との比較を行い,提案方法の有効性を確認している.
著者
加藤 治雄 中山 謙二 平野 晃宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.315, pp.91-96, 2006-10-20

信号源数がセンサ数より多いオーバーコンプリート形ブラインド信号源分離(BSS)で,信号源の完全分離は困難という問題に対して,我々はフィードバック形の回路構成と学習法を既に提案している.まず,1個の信号源が複数の出力に含まれないことを分離の条件として,1巡目の信号源分離を行ない,少なくとも1個の出力に単一信号源を分離する.この出力を観測信号にフィードバックして,観測信号から単一信号源をキャンセルすることにより,等価的に信号源数を低減する.単一信号源のキャンセル法として,当該出力と推定した混合過程の情報を使ってキャンセルする他,観測信号のヒストグラムを使ってキャンセルする方法を組み合わせる.本稿ではさらに,フィードバックにより生じる信号歪みの問題に対して,スペクトルサプレッション法を導入することにより,信号歪みを抑制する.2巡目の信号源分離では,観測信号に含まれる信号源が1個少ない状態で1巡目とは異なる学習法により処理を行なう.信号源として音声を用いたシミュレーションにより,提案方法の有効性を確認した.
著者
中山 謙二 平野 晃宏
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1)オーバーコンプリート形ブラインド信号源分離(OC-BSS)平成17年度に提案した,フィードバック形BSSにおいて,フィードバックにより信号源を相殺するための好しい学習法を提案した。混合過程に関する情報を使う方法と信号のヒストグラムを使う2つの方法を提案した。さらに,ヒストグラムを使う方法に関して,信号歪みを低減する方法を提案した。信号歪みを雑音と見なして,スペクトルサプレッション法により雑音スペクトルを抑制する方法である。音声の信号源を3個,センサーを2個としたときのシミュレーションを行い,従来法に比べて,信号対干渉比が約10dB改善された。2)非線形混合過程に対するブラインド信号源分離信号源のグループ分離と線形化を縦続接続する方式を以前に提案したが,その学習法に関して改良を行った。特に,線形化に関して,「初期値の設定法」及び「パラメータの学習法」に関して新しい方法を提案し,信号源の分離特性を大幅に改善した。また,信号源とセンサーの位置関係と必要なセンサー数の関係についても解析し,実用化における指針を与えた。3)ブラインド信号源分離における信号歪みの低減フィードフォワード形(FF-)BSSに対して,信号歪みを抑制する新しい学習法を提案した。従来の学習法に信号歪みを抑制する制約条件を課す方法である。2チャネルと3チャネルについてシミュレーションを行い,分離特性と信号歪みを評価した。その結果,従来の信号歪み抑制形学習法に比べて大幅な特性改善を実現した。さらに,フィードバック形(FB-)BSSとFF-BSSが各々有効に使用できる条件を明らかにした。