著者
中岡 暖 後藤 春彦 山村 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.235-242, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
15

昨今、就業者の精神的疲労は深刻な問題であり、その疲労の蓄積が健康を損なうことが懸念される。就業者の健康と生産性を下支えする労働環境への関心の高まりから、オフィス内部空間の環境改善を中心として研究が進められているが、外部環境のありかたについての議論は不十分である。本研究では、業務市街地のオープンスペースに着目し、利用者の精神的疲労度に与える影響を明らかにすることに加え、精神的疲労を低減させる歩行空間の環境特性を記述することを目的とした。その結果、オフィス足元のオープンスペースが一般的な業務市街地とは異なり、精神的疲労を低減させることが明らかになった。また、被験者が知覚した空間構成要素に対する評価理由から、歩行空間の一体的な整備が高い評価を得ていること、またベンチやその利用者の様子を知覚することで、自らの利用シーンを想像し、歩行空間への評価を高めていることも伺えた。