著者
中島 康比古
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.3-24, 2006
被引用文献数
3

レコード・コンティニュアムというレコード・アーカイブズ・マネジメントの新たな理論的枠組みが提唱されて10年。レコード・マネジャーやアーキビストのコミュニティ、特に日本のコミュニティによって共有される新たなパラダイムとはまだなり得ていない。本稿は、同理論の本質的要素を出来るだけ簡潔に提示するとともに、その枠組みにおけるrecord、archive、archivesの日本語の訳語を提示する。次に、レコード・コンティニュアム論を基盤にしてオーストラリアで作り出されたレコードキーピングの実践的方法論であるDIRKSおよびDIRKSを用いて策定される記録最終処分規準について紹介し、レコード・コンティニュアム論がレコード・アーカイブズ・マネジメントの実務に実際にどのように影響を与えているかを考察する。
著者
中島 康比古
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.49, pp.20-38, 2005-03-31
被引用文献数
2

近年、レコード・アーカイブズ・マネジメントの世界では、技術的には電子記録の爆発的普及、社会的には情報公開・個人情報保護法制の整備、理論的にはポストモダニズムの影響を背景にして、レコード・コンティニュアムという新たなパラダイムがオーストラリアから登場し、議論の的となっているが、このパラダイムの紹介・考察は日本では緒についたばかりである。このパラダイムの提唱者であるフランク・アップウォードやスー・マケミッシュの議論に加え、このパラダイムに対する反響の一例として、カナダのテリー・クックの見解を詳しく紹介すると同時に、このパラダイムの登場が意味するものについて考える。
著者
中島 康比古
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.554-558, 2006-12-01
被引用文献数
1

大量に生み出される情報のうち,何を残し,何を捨てるべきなのか。組織の活動の証拠として作成される記録の中から永久的に保存すべきものを選び出すアーカイブズの世界の評価選別論を紹介する。第三者の利用価値を重視したシェレンバーグ,記録作成時の社会の価値観を分析するよう説いたブームスらの議論のほか,「マクロ評価選別」論を概観する。また,近年注目されている「レコード・コンティニュアム」の理論やそれを実践的方法論に変換したDIRKS方法論,さらに,アカウンタビリティを記録管理の目的として位置づけるISO15489について検討する。その上で,組織がアカウンタビリティや透明性を求められる現代社会において,記録や情報をどのように評価選別すればよいのか,その基本的な在り方を論じる。