- 著者
-
高垣 マユミ
中島 朋紀
- 出版者
- 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.4, pp.472-484, 2004-12-30
- 被引用文献数
-
3
本研究は, 小学4年生を対象とした一斉形態の理科授業の協同学習において, 「知識の協同的な構成が生じている場面においては, どのような相互作用がみられるのか」また, 「そのような相互作用を教室において生じさせる要因は何か」について検討することを目的とした。授業の構成は, ブリッジングアナロジー方略(Clement, 1993)を教授的枠組みに据え, 学習者の既有知識から出発した「話し合い活動」による協同的探求を中心とし, 解釈上の疑問や問題点を検証する場として実験・観察を位置づけた。理科授業の協同学習における発話事例の解釈的分析から, 以下の結果を得た。1)知識の協同的な構成には, 「個別的」VS.「統合的」の二項対立的な相互作用のスタイル間の揺さぶりによる組織的変化が必要であることが示唆された。2)科学の基礎概念についての対話者間の解釈上の違い, 及び, 「アナロジー」, 「可視化」という具体的事象の理解を深める道具立てにより, 「操作的トランザクション」の対話が生成され, 相互作用の組織的な変化が生起することが見出された。