著者
武田 千絵 中嶋 加央里 能登谷 晶子 砂原 伸行
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.207-215, 2017-09-25 (Released:2017-10-11)
参考文献数
22
被引用文献数
3

Trail Making Test(TMT)は,Halstead-Reitan Batteryの一つとして報告された縦型のTMT(縦版TMT)と鹿島らが作成した横型のTMT(横版TMT)の二つがある.しかし,2つのTMTでは成績が大きく異なり,その原因について詳細な言及はなされていない.今回若年健常者を対象に2つのTMTを実施し,所要時間を比較した.その結果横版TMTが縦版TMTよりも所要時間が延長し,Part A,B間で所要時間に差がなかった.縦版TMTの所要時間はPart Bで延長した.TMT完遂までに引かれる線の長さを除して検討したが,横版TMTが縦版TMTよりも遂行時間が延長した.縦版TMTは線が円を描く軌跡になるのに対し,横版TMTでは線がランダムに重なっていくため,視覚探索が困難となり所要時間の延長につながったと考えられる.