- 著者
-
小川 美江子
中嶋 睦安
名取 正彦
室岡 治義
- 出版者
- Japanese Society for Food Science and Technology
- 雑誌
- 日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.5, pp.303-309, 1986-05-15 (Released:2009-04-21)
- 参考文献数
- 18
腐敗した食用コンニャク中にコンニャク分解菌の存在を認め,これを純粋分離し,本菌をB. circulansと同定した.本菌はコンニャク粉のみから成る培地にも生育したが,さらにリン酸水素ナトリウム,硫酸マグネシウム,硫酸アンモニウムを添加した培地(F培地)に良好な生育を示した.本菌の生育におよぼすpHの影響を検討した結果,pH 5.5~10.5の範囲で生育が可能であり,pH 6.0~9.5では最も良好な生育が見られた.本菌をF培地で培養すると培養初期に,急激な培地の液化が見られ,菌の生育に伴い,還元糖が蓄積された.本菌の菌体外にコンニャク分解酵素の存在が認められ,その酵素の至適温度30℃,至適pH 6.4~7.2, 55℃で40分間の処理では安定であった.培養液中のコンニャク分解生成物は,薄層クロマトグラフィーにより,遊離糖としてグルコースとマンノースおよびその他分解中間生成物と患われるスポットが検出された.