著者
富田 早苗 三徳 和子 中嶋 貴子
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.114-120, 2016-08-30 (Released:2016-09-17)
参考文献数
18
被引用文献数
1

【目 的】 居宅の壮年期生活保護受給者の喫煙状況と健康行動との関連について明らかにする。【方 法】 40~64歳の生活保護受給者を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。調査内容は喫煙状況、疾患、健康行動およびソーシャルサポート等である。【結 果】 分析対象者は246名で、男性164名(66.7%)、女性82名(33.3%)、喫煙率は男性57.9%、女性39.0%であった。男性では学歴が低い者、健康行動が不適切な者、ソーシャルサポートが少ない者は有意に喫煙リスクが高かった。一方、女性では飲酒以外は喫煙との関連は認められなかった。男女とも高血圧、糖尿病、うつ病などの疾患と喫煙に有意な関連はなかった。【考察・結論】 女性は、喫煙とアルコール双方の支援が、男性は、食事、運動、睡眠など健康行動全般をふまえて禁煙支援をする必要性がある。ソーシャルサポートとの関連も示唆されており、生活保護受給者の禁煙対策は彼らの健康と生活を守るうえで早急に対応すべき課題と考える。
著者
中嶋 貴子 馬場 英朗 中嶋 貴子
出版者
非営利法人研究学会
雑誌
非営利法人研究学会誌
巻号頁・発行日
vol.14, pp.69-79, 2012

(C)非営利法人研究学会:このデータは、非営利法人研究学会の許諾を得て作成しております。市民の公共サービスに対するニーズが多様化し、社会的課題の解決に取り組むNPO法人が活躍している。しかし、多くのNPO法人では活動資金が不足しており、公共サービスの担い手として財源の成長性と安定性を確保することが大きな課題となっている。本研究では、愛知県所轄NPO法人137団体について、2003年度から2007年度まで5年間の財務パネル・データを作成し、財務的な成長性と安定性に関する4つの仮説に基づいた実証分析を行った。その結果、活動財源の成長に事業収入が寄与する一方、寄付や会費を得ることによって団体の評価を高め、新たな財源開拓に結びつける「寄付の外部効果」は実証されなかった。しかし、収入の安定には会費や補助金などの財源多様化が一定の効果を有することが明らかとなった。NPO法人の持続的な財政基盤を確立するために、「寄付の外部効果」を活用した資金の好循環を作り出し、多様な財源にアクセスできる環境を整えていくことが重要となる。