著者
高橋 勇二
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.90-91, 2017-10-30 (Released:2017-11-25)
参考文献数
2
著者
伊藤 恒 大嵩 紗苗 山田 仁美 大塚 美幸 原 千春 亀井 徹正
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.4-6, 2016

双極性障害を合併した性同一性障害の1例に対してバレニクリンによる禁煙治療を行った。外来受診時には患者の希望により姓で呼称した。バレニクリンの有害事象を認めることなく12週後禁煙に成功したが、再喫煙を繰り返した。対人的な精神的ストレスを感じた際に再喫煙していることが判明したので、ストレスを自覚した際の対処法を提案したところ、禁煙を継続することができた。性同一性障害患者に対してバレニクリンによる禁煙治療を行う際には併存する精神疾患の症状増悪や希死念慮の出現に注意するとともに、性の多様性を理解して対応することが重要である。
著者
石井 正和 大西 司 下手 葉月 長野 明日香 石橋 正祥 阿藤 由美 松野 咲紀 岩崎 睦 森崎 槙 佐口 健一 相良 博典 巖本 三壽
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.12-20, 2017-02-28 (Released:2017-03-25)
参考文献数
20

【目 的】 禁煙外来を受診した患者へのアンケート調査により、保険薬局薬剤師(以下薬局薬剤師)による禁煙支援の必要性と、実際の薬局での禁煙支援の現状の把握から、薬局薬剤師の禁煙支援業務について考察する。【方 法】 昭和大学病院の禁煙外来を受診した患者を対象にアンケート調査を実施した。【結 果】 回収率は59%(36/61名)だった。対象者は、男性69%、女性が28%、平均年齢は58歳であった。禁煙を始めるとき、56%の患者は医師に相談したと回答したが、薬局薬剤師に相談した患者はいなかった。同様に、58%の患者は禁煙外来を医師から教えてもらったと回答したが、薬局の薬剤師から教えてもらった患者はいなかった。保険薬局の薬剤師による禁煙支援(禁煙の勧め、禁煙補助薬の供給・服薬指導、禁煙指導、禁煙外来への受診勧奨の4項目)の必要性を75%以上の患者は感じていたが、患者の視点では薬剤師による禁煙支援は4項目すべてにおいて患者の望む環境にはなっていなかった。しかしながら、薬剤師による禁煙支援を受けた経験がある患者は、その支援に65%以上が満足していた。【結 論】薬局薬剤師による禁煙支援体制は、患者は必要と感じているものの、患者視点では現実は不十分であることがわかった。薬局薬剤師がより良い禁煙支援を行うためには、さらなる努力が必要だと思われる。
著者
長野 明日香 石井 正和 大西 司 下手 葉月 石橋 正祥 森崎 槙 相良 博典 巖本 三壽
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.21-29, 2017-02-28 (Released:2017-03-25)
参考文献数
18

【目 的】医師が求める薬局薬剤師の禁煙支援における役割について明らかにする。【方 法】 日本禁煙学会のホームページに掲載されている日本禁煙学会専門医及び認定医(200名)を対象にアンケート調査を実施した。【結 果】 回収率は51%(102名/200名)だった。薬局薬剤師が禁煙を勧めることは、喫煙者全員に行ったほうがよいとの回答が多かった(70%)。市販の禁煙補助薬での禁煙治療を勧めることは、禁煙の意思がある喫煙者に勧めるべきと回答した人が最も多かった(62%)。また、市販の禁煙補助薬による治療が失敗した場合は、禁煙外来の受診を勧めるべきと8割以上が回答した。薬剤師から医師への受診勧奨時の患者情報の提供方法としては、文書による提供を望む声が最も多く、中でも服用薬の情報を提供すべきとの意見が最も多かった。禁煙外来に通院中で、禁煙を継続している患者に対しては、称賛し自信をもたせること(85%)、禁煙できていない患者に対しては、禁煙できていない理由を確認することが、薬剤師が行うべき継続的フォローとして重要だと考えている人が多かった(71%)。より良い禁煙支援を行うために学会や薬剤師会などの認定を取得すべきだと7割以上の医師が考えていた。【結 論】禁煙治療では治療中に精神的ケアが必要となることもあることから、薬局薬剤師がより良い禁煙支援を行うためには、禁煙支援に関する知識をさらに身に着ける必要があると思われる。
著者
石井 正和 加藤 大貴 伊東 育己
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.36-46, 2022-11-07 (Released:2022-12-30)
参考文献数
27
被引用文献数
2

【目 的】 加熱式タバコの煙や臭いによる頭痛の実態を明らかにするためにアンケート調査を実施した。【方 法】 インターネットでアンケート調査を行った。対象は20~40歳代の頭痛持ちの男女で、加熱式タバコ使用者に限定していない。【結 果】 有効回答は627人で、片頭痛は163人、その他の頭痛は464人だった。片頭痛群はその他の頭痛群と比較して、頭痛が日常生活に及ぼす影響が大きく、紙巻タバコだけでなく加熱式タバコの煙や臭いにより頭痛が引き起こされる人が有意に多かった。片頭痛群のうち、非喫煙者(117人)でも紙巻タバコだけでなく加熱式タバコの煙や臭いにより頭痛が引き起こされる人がいたが、喫煙者(46人)ではさらに多かった。【結 論】 頭痛患者のなかで、片頭痛患者は、喫煙や受動喫煙による紙巻タバコや加熱式タバコの煙や臭いにより頭痛を誘発しやすいことが明らかとなった。紙巻タバコと加熱式タバコを区別せずに禁煙環境を整備する必要がある。
著者
瀬在 泉 谷口 千枝 平野 公康 吉見 逸郎
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.79-86, 2018-12-12 (Released:2019-01-23)
参考文献数
12
被引用文献数
3

【目 的】 都道府県看護協会(以下、協会)のタバコ対策や禁煙支援の研修機会の現状を調査し、看護職の禁煙支援スキルの普及啓発を行う示唆を得る。【方 法】 2017年5月、協会47施設に対し、タバコ対策行動計画立案に関すること、看護職のタバコ対策や禁煙支援の講習会(以下「講習会」)に関すること等について、質問票を郵送し調査した。【結 果】 41施設の回答を得た。タバコ対策行動計画を現在立案しているのは8施設、「講習会」を現在実施しているのは9施設であった。協会が「講習会」に求める内容は、喫煙の害など情報提供や患者に行う禁煙支援、喫煙防止教育、カウンセリングスキル等であった。【考 察】 協会のタバコ対策は、日本看護協会のタバコ対策と連動していることが考えられた。「講習会」の内容として、喫煙の害などの情報提供や禁煙支援スキルの獲得が必要と思われた。【結 論】看護職のための禁煙支援スキルの獲得を目指した方策の検討が必要である。
著者
松浪 容子 川合 厚子
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.51-58, 2015-11-15 (Released:2015-11-28)
参考文献数
14
被引用文献数
2

【目 的】 生活保護受給者の喫煙に関する実態と禁煙治療に対する認識を明らかにする。【方 法】 N市において生活保護受給者を対象に喫煙に関する自記式アンケートを行った。【結 果】 有効回答者 86 人のうち、調査時点で毎日喫煙33.7%、時々喫煙9.3%、過去喫煙32.6%、非喫煙24.4%で、喫煙率は全体で43.0%、男性54.5%、女性22.6%であった。禁煙治療を知っている者は喫煙者の78.4%、禁煙治療の保険適用を知っている者は喫煙者の37.8%であった。タバコ代を負担に感じる喫煙者が83.8%で、「無料なら禁煙治療を受けたい」と回答した者は29.7%であった。【考察および結論】 N市における生活保護受給者の喫煙率は男女共に高く、喫煙者の多くはタバコ代を負担に感じており、禁煙治療の広報や周知の必要性が示唆された。今後、介入方法、保健・医療・福祉の連携方法等の検討が必要である。
著者
河野 哲也 調 漸
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.91-97, 2020

長崎大学では2018年、学生と教職員の心身の健康の増進のために、「ヘルシーキャンパス・プロジェクト」を立ち上げたことを機に、禁煙推進活動を開始した。本学が国立大学では初のタバコフリー・キャンパスに至った経緯について報告する。
著者
阿部 和美 久保 幸代
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.87-96, 2021-12-28 (Released:2022-02-05)
参考文献数
23

【目 的】 妊娠28週以降の妊婦を対象に、妊婦の喫煙状況、新型タバコ(電子タバコと加熱式タバコ)の健康への影響に関する認識および加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)の実態と各々の関連を明らかにする。【方 法】 妊婦健康診査を受診した妊娠28週以降の妊婦を対象に、喫煙状況や新型タバコの健康への影響に関する認識、KTSND等について自記式質問紙調査を実施した。【結 果】 有効回答率は90.9%(140名/154名)であった。妊婦の喫煙率は2.1%、妊娠判明時の喫煙率は8.5%、妊娠判明後の禁煙率は6.4%であった。新型タバコは紙巻きタバコより有害性が低いと思っている妊婦は82名(58.6%)、また胎児への影響が少ないと思っている人も48名(34.3%)とその認識は低かった。【考 察】 新型タバコの健康への影響に対する考えうるリスクの認識を持っている者が半数程度のため、今後、新型タバコを使用する妊産婦の増加やそれによる母子の健康への影響が懸念される。【結 論】 今後の禁煙支援としては、妊婦に新型タバコの正しい知識を普及させる必要がある。
著者
杉山 牧子
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.64-70, 2018

<p>【目 的】 禁煙外来でバレニクリン(チャンピックス<sup>®</sup>)による治療をおこなった230名について治療成績に関連する要因を検討した。</p><p>【方 法】 異なる3病院における2012年4月から2016年9月までを対象者とした。治療12週間後で成功群と失敗群に分けて、差異を比較した。</p><p>【結 果】 成功者は157名(68.3%)、不成功者は73名(31.7%)であった。3病院別の成功率は73.6%、73.3%、56.6%であった。成功群では、年齢、ブリンクマン指数(BI)、禁煙達成の自信、通院回数、全5回受診者の比率が有意に高かった。一方、不成功群では、バレニクリンの副作用、それによる減量・中止、若年層、精神疾患患者の比率が有意に高かった。</p><p>【考 察】 有意差を認めた項目について多変量解析を施行したところ、禁煙成功に独立して最も相関する因子は全5回受診であり、最も妨げとなる因子はバレニクリンの副作用であると判明した。</p><p>【結 論】 禁煙成功の為に、全5回の定期受診を促すことと、バレニクリンの副作用を緩和することが最重要である。</p>
著者
原田 隆之 笹川 智子 高橋 稔
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.22-28, 2014-05-27 (Released:2015-01-09)
参考文献数
24

【目 的】 大学生の喫煙実態と喫煙支持要因を検討し、若年喫煙者の禁煙支援治療へのニーズを検討する。【方 法】 大学1年生145名に対して質問紙を配布し、本人・家族・友人の喫煙状況、ニコチン依存度、喫煙に対するイメージ等について回答を求めた。【結 果】 現喫煙者は14名(10.6%)で、その半数が禁煙希望を持っていた。親しい友人の喫煙と本人の喫煙には中程度の正の相関があった。喫煙者も非喫煙者もタバコに対して、同様にネガティブなイメージを抱いている一方、喫煙者は「リラックスできる」というポジティブなイメージを抱いていることがわかった。【結 論】 禁煙支援に対するニーズは高く、自力禁煙に失敗した者も少なくないことから、大学生に対する専門的な禁煙支援プログラムの開発が必要である。特に、ピア・プレッシャーへの対処、友人や恋人からのサポートの構築、認知的再構成、代替活動の学習などが重要であることが明らかになった。
著者
山本 勲 大谷 広伸 後藤 晋太朗 齊藤 啓太 都築 健太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.44-50, 2019-07-10 (Released:2019-10-25)
参考文献数
12

【目 的】 経済学のアプローチから、居酒屋で禁煙を実施した際に、口コミサイトの評価が悪化するかどうかを定量的に明らかにする。【方 法】 飲食店のレビューサイトの口コミ評価や店舗の特性に関する2012年から2016年までのパネルデータ(追跡データ)を構築し、計量経済学の分析手法を用いて、禁煙の実施が居酒屋の人気度に与える影響を統計的に推定した。【結 果】 禁煙や分煙の実施は口コミ評価の得点でみた居酒屋の人気度に対して、統計的に有意な影響を与えていなかった。【考 察】 居酒屋の禁煙実施が顧客からの口コミ評価に影響を与えないという推定結果からは、喫煙環境が顧客の店舗選択の要因になっていない可能性や、たとえ喫煙者の需要が減少したとしても非喫煙者の需要が増加するためにネットでみた需要の変化は生じない可能性が示唆される。【結 論】 居酒屋で禁煙を実施したとしても、顧客からの評価が下がり、喫煙可能な競合店に顧客がシフトし、売上高が減少するとは考えにくい。よって、健康被害を防止することを目的に、政府や自治体、顧客が居酒屋に禁煙や分煙の実施を要請することは、経済学的な観点からみても正当化することができる。
著者
大見 広規 荻野 大助 メドウズ マーティン
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.4-10, 2020-03-27 (Released:2020-04-17)
参考文献数
13

【目 的】 健康増進法改正に伴い、大学では2019年7月から、原則敷地内禁煙となった。ただし、一定条件下では屋外喫煙場所設置を認めている。明文化された敷地内禁煙規程の策定に向けての参考とするため、学生の意識調査を実施した。【方 法】 2年生を対象に、無記名質問紙法で性別、喫煙状況、周囲歩道上での喫煙への態度、規程の要否、屋外喫煙所設置への賛否、加濃式社会的ニコチン依存度を質問した。【結 果】 授業出席者を対象として回収率は90.1%(172名)で、2名は過去喫煙者で170名が非喫煙者であった。対象者の79.1%が、「大学独自の対策として規程の必要性が高い」と回答し、67.9%は「規程の中に周辺歩道喫煙の制限を規程に含めるべき」と回答した。屋外喫煙場所の設置は条件が合えば62.2%が容認していた。【考 察】 本学の喫煙率はきわめて低いため、規程の必要性や歩道喫煙の制限に賛成する意見が多い。屋外喫煙場所を認める意見が多い理由として、屋外喫煙場所を設置することで受動喫煙の曝露を防ぎたいと考えているものが多いことが推察された。【結 語】 大多数の学生が大学独自の禁煙規程の策定を望んでいた。