著者
中川 源洋 笹垣 信明
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.103-106, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
6

無形の民俗芸能の保存は、そのままの形で保存させることが困難であるため、映像記録が広く用いられている。しかしながら目的ごとに求められる映像コンテンツが異なるため、予算や撮影条件が限られている場合は目的が限定され、必ずしも有効に活用されないことがあった。そこで様々な目的に適用が可能な記録を得るために、数台の測距カメラを組み合わせて民俗芸能を3次元(3D)的に記録・データ化する技術を開発した。本技術を郷土芸能保存会のような団体自身により、公演や練習の様子をデータ化/アーカイブ化していくこと想定している。取得データは演技空間そのものを記録しているので、目的に合わせた形態への加工が可能となる。例えば再生視点を自由に選べることから、行事全体を理解するための広角の映像、演者の動きや部位に注視した映像、更には広報用の極端なアングルやクローズアップ映像などに再構成させることができる。また取得した3Dデータを解析し、熟達者と初心者間の動きを定量的に比較し継承支援につなげたり、取得データを利用した芸能体験アプリなどによる観光目的への展開なども可能となる。本稿では岩手県で継承されている鹿踊りや神楽の3Dデータ化実験と、取得データを活用した訪日外国人向け芸能体験アプリの実験の結果を報告する。
著者
中川 源洋 中嶋 謙一 平野 和弘
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.s1, pp.s33-s36, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
5

RGB-Depth(深度)カメラシステムは、カラー情報とカメラからの距離情報を同時に取得する技術である。本システムを用いれば、舞踊などの無形文化財や美術展の空間そのものを3次元データとして記録することができる。従来技術では、再現できる鑑賞視点に制限があったり、立体物の表示に制限があるといった課題があった。本技術は、少ない視点から撮影しそのデータをツールに入力することだけで3次元データを作成するものである。取得した3Dデータは自由視点で映像再現するので、実際の展覧会場で作品鑑賞に近い体験の提供が可能となる。また取得データは空間のもつ情報をすべて包含していることから、作品そのものの映像情報だけではなく、作品の展示順番や作品同士の距離など情報を含み、展覧会場のアーカイブに適している。本発表では、山形ビエンナーレ2020での展覧会場の3次元データ化実験事例を中心に3次元データの活用可能性に関して報告する。