著者
金山 智子 小林 孝浩 伏田 昌弘 津坂 真有
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s49-s52, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
4

近年、渋谷や新宿、六本木など都心では夏のイベントとして盆踊りが開催され、若者たちに人気を博している。また各地の盆踊りを行脚する者もおり、岐阜県郡上市の郡上おどりのように全国から若者たちが集まる盆踊りもある。盆踊りがイベントとして盛り上がる一方、地元スタッフの高齢化や若者の参加者の減少など、多くの地域では盆踊り大会が縮小傾向にある。このような状況下、本来、盂蘭盆に精霊を迎え送る風習から生まれた伝統芸能としての盆踊りをいかに次世代へと継承していくのかが一つの課題となっている。本研究では、岐阜県本巣市旧根尾村の各集落にて毎年盆に拝殿で行われる盆踊りを映像撮影し、これをもとにアバターを用いた3Dのバーチャルな盆踊りを制作、ネット配信を試みる。YouTube世代の子どもや若者に向け、また、新型コロナウィルス感染防止で人が集まることが難しい状況下、自宅で楽しみながら盆踊りを学ぶことの可能性について考察し、報告する。
著者
時実 象一
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.1, no.Pre, pp.76-79, 2017-09-08 (Released:2017-09-08)
参考文献数
12

著作権を始めとするコンテンツに対する権利は、デジタル化する際だけでなく、これを公開する際にも重要である。「デジタルアーカイブの連携に関する関係省庁等連絡会・実務者協議会」の「ガイドライン」、国内、海外の事例、Europeana/DPLAの開発によるRights Statementsについて調査したので報告する。
著者
常石 史子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.175-178, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
1

フィルムアルヒーフ・オーストリアは、映画フィルムおよび映画関連資料の収集・保存および公開を使命とするフィルムアーカイブであり、デジタルアーカイブの構築にも積極的に取り組んでいる。2012年以降は「あなたのフィルムが歴史をつくる」をモットーに、各州政府および国内最大の放送局ORFと共同で、ホームムービーの収集およびデジタル化を継続的に行なっている。ブルゲンラント、ニーダーエスターライヒ、サルツブルクの各州から収集し、デジタル化を完了したフィルムは11万本を超え、ホームムービーの分野では先駆的かつ最大のデジタルアーカイブの一つとなっている。本報告では、中でも最大規模のニーダーエスターライヒ州の例を中心に、7万本を超えるフィルムを正味3年足らずの期間にデジタル化するにあたり、浮上した様々な課題について述べる。
著者
渡邉 英徳 庭田 杏珠
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.317-323, 2019-06-24 (Released:2019-08-30)
参考文献数
12

本稿では、デジタルアーカイブ/社会に“ストック”されていた白黒写真をAI技術でカラー化し、ソーシャルメディア/実空間に“フロー”を生成する活動について報告する。被写体が備えていたはずの色彩を可視化することによって、白黒写真の凍りついた印象が解かされ、鑑賞者は、写し込まれているできごとをイメージしやすくなる。このことは、過去のできごとと現在の日常との心理的な距離を近づけ、対話を誘発する。こうして生成された“フロー”においては、活発なコミュニケーションが創発し、情報の価値が高められる。この方法は、貴重な資料とできごとの記憶を、未来に継承するための一助となり得る。
著者
有賀 暢迪 橋本 雄太
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.162-164, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
3

国立科学博物館では、科学技術史資料として日本の科学者の個人資料を収集・保存している。こうした「科学者資料」にはノート、原稿、書簡、写真、辞令、身の回り品などが含まれ、展示室内で全体を紹介することが難しい。他方で、近年急速に広まっているIIIF(International Image Interoperability Framework)は、この種の資料をインターネット上で「展示」するための新たな手法をもたらしつつある。本研究では、植物学者・矢田部良吉(1851-1899)の資料を事例とし、資料画像のIIIFでの公開を前提とした上で、これを利用して電子展示を行うシステムを試作した。このシステムでは、自館の所蔵資料に他館からの「借用」資料を組み合わせ、それぞれに「キャプション」を付して、一つのストーリーの下に「展示」できるほか、「展示替え」も容易に行える。本システムは、IIIFを利用することにより、博物館が伝統的に行ってきた展示室での展示と同様のことをインターネット上で実行可能にしたものである。
著者
神崎 正英
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.342-347, 2020-10-01 (Released:2020-11-16)
参考文献数
15

ジャパンサーチ利活用スキーマは、多様な領域のデータを集約・提供する統合ポータルのためのRDFモデルおよび語彙である。設計にあたっては、海外の統合ポータル事例も参照しつつ、利用者タスクの観点で扱いやすく、また連携元にもメリットがあることを目指した。その基本として、構造化ノードと単純プロパティを併記する二層記述、ソースとアクセス情報のグループ化などを採用している。基本部分設計の検討ポイントを説明するとともに、時間・場所情報の表現および正規化の細部について、SPARQLの機能を踏まえた工夫を紹介する。
著者
東 由美子 時実 象一 平野 桃子 柳 与志夫
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.35-40, 2019-01-07 (Released:2019-02-18)
参考文献数
20
被引用文献数
1

欧米と比較すると、我が国ではデジタル編集導入以前の過去に発行された地方新聞のデジタルデータは、活用以前に公開自体ほとんど進んでいない。しかし、古い新聞原紙の劣化の進行、地方紙の地域における役割の重要性等に鑑みて、過去の地方紙のデジタル化は今後の我が国のデジタルコンテンツ形成、及びデジタルアーカイブ構築にとって極めて重要な課題といえよう。筆者らは2017年2月から5月に日本新聞協会の協力を得て、協会に加盟する地方新聞社73社に対し、デジタル化に関するアンケート調査をおこなった(回収率64.4%)。本稿ではその概要について報告し、地方紙のデジタル化やデータの公開に関する課題、問題点等を検討する。
著者
常石 史子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.394-398, 2019-12-16 (Released:2019-12-16)
参考文献数
10

フィルムアーカイブにおける映画の復元と保存のミッションを、1)ソース(復元の元になるオリジナル素材)の保存 2)ソースの復元 3)複製物の保存 の3点に整理し、アナログ・デジタル両面について論じる。その上で、LTO (Linear Tape-Open)を用い、デジタル・マスター等をオフラインで長期保存する際に生じるマイグレーションの困難を、デジタル・ジレンマの具体例として示し、アナログ保存とデジタル復元のハイブリッドによる当面の解決策を紹介する。
著者
木戸 崇之
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.181-184, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
2

2020年1月、朝日放送グループは阪神淡路大震災の取材映像、約38時間分1970クリップを公開した。1995年の発生から四半世紀が経過し、中心被災地の神戸市ですら、震災を経験していない住民が半数近くにのぼっており、被災経験や教訓の伝承が課題となっている。公開映像には被災者の顔が映り込んだものやインタビューも多数盛り込んだが、被取材者本人や近親者からの公開取りやめの要望は寄せられていない。アーカイブ公開においてしばしば課題となる肖像権の問題をどのように検討したか、公開に向け掲げたポリシーと具体的な作業内容を報告する。
著者
渡邉 英徳 小林 正明
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.250-255, 2020-07-01 (Released:2020-08-24)
参考文献数
6

私たちは、社会に“ストック”されている1964年大会の資料を“フロー”化するコンテンツ「東京五輪アーカイブ1964~2020」を制作した。デジタルアースを用いて過去と現在の風景を重ね合わせることによって、ばらばらの粒子のように“ストック”され、固化していたデータが結び付けられ、液体のように一体となって流れる“フロー”となる。この“フロー”をさまざまなデバイスを通して生み出すことにより、資料についてのコミュニケーションが創発し、情報の価値が高まる。その結果として、56年前・1年後の五輪が、ひとつの流れのなかに位置付けられ、過去に学び・未来に活かす「継承」の機運を生み出せると、私たちは考えている。
著者
岡田 一祐 山本 和明 松田 訓典
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.144-145, 2018

<p>本発表は,日本語の歴史的典籍(明治時代以前の書物)の情報基盤とすべく構築された新日本古典籍総合データベースに関する知見について議論する.国文学研究資料館では,2017年10月に新日本古典籍総合データベースを公開した.これは,日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画の一環で進められた古典籍のデジタル画像化,およびその利活用の基盤として作られたものである.</p><p>新日本古典籍総合データベースは,古典籍に関する総合ポータルたるべく,書誌データのみならず,画像タグなどの画像アノテーションや,全文テキストへの検索機能を通じて,多角的な視点からの古典籍へのアクセスを可能としている.このほかにも,資料へのアクセスの永続性を確保するために,多機関に分散する資料のデジタル画像をデータベースで一元管理し,またデジタルオブジェクト識別子(DOI)を個々の資料に附与するなどして,利用に関する安定性を確保すべく努めている.</p>
著者
原 翔子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s33-s36, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
14

近年ではデジタルアーカイブの拡充によって世界中の博物館や美術館がオンラインでコレクションを展示するようになった。そこで,博物館における展覧会と鑑賞者との間には、物理的な空間における鑑賞だけでなくオンライン展示の利用という場面においても相互作用があるべきだとされている。オンライン展示が抱える現状の問題点は、個人へのパーソナライズと鑑賞前後体験の補助という場面から認識することができる。特に前者について、高木(2019)によるデフレーミング戦略は親和性が高く、経済学の概念でありながら展覧会への応用可能性が大きい。本稿ではデフレーミングを援用し、オンライン展示に留まらない展覧会デザインを提案する。
著者
大向 一輝
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.329-332, 2020-10-01 (Released:2020-11-16)
参考文献数
12

国内に存在するあらゆる種類の文化資源を対象とするジャパンサーチは、日本のデジタルアーカイブの系譜におけるひとつの到達点である一方、「すべての資料が集まるデジタルアーカイブ」が2019年にはじめて実現された理由、ならびに国立国会図書館を中心とした体制が構築された理由は自明ではない。本稿では、ジャパンサーチ誕生の経緯に関する公開情報を整理するとともに、社会的な文脈を含めた議論を通じて本特集の各論を補足する。
著者
有本 昂平 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.2-7, 2018-01-31 (Released:2018-04-27)
参考文献数
12

本論文では3次元デジタルアース上に取引クラスタをグラフを用いて可視化し、描画するエッジの始点と終点の高度を変化させることで階層を表現した。またタイムスライダを用いて時系列で存在する取引クラスタの可視化を動的なアプリケーションとして構築し、各エッジの取引量の変化に応じて描画するエッジの色を変化させた。本提案手法によって取引クラスタにおける始点と終点のノードの位置情報、各ノードの階層、時系列の4つの要素を同時に把握することが可能となり、同一条件で抽出した取引クラスタは時系列で変化することを把握できたことから、頂点企業の戦略により企業の取引が刻一刻と変化していることがわかった。したがって、本提案手法はデータ分析スキルの高低に関わらず企業間取引ネットワークから取引構造や時系列変化についての知見を得ることが可能な手法である。
著者
大井 将生 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.352-359, 2020-10-01 (Released:2020-11-16)
参考文献数
12

情報化の進展を背景に、学習指導要領では調査や諸資料から様々な情報を調べてまとめる技能や、多面的・多角的に考察する力の育成が教育目標として記されている。この実現のためにMLA資料の活用が推奨されているが、その学習デザインについては十分に議論されていない。そこで本研究では、ジャパンサーチを活用した探究的キュレーション授業を開発し、小学校・中学校・高等学校で授業実践を行なった。これにより、児童生徒が自ら立てた問いに基づいて学びを展開することで多面的・多角的な視座を育む契機を創出する学習デザインの一例を示すことができた。一方で実践を通して、ジャパンサーチの教育活用を進展する上での課題も明らかになった。
著者
時実 象一
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.287-293, 2018 (Released:2018-07-17)
参考文献数
22

フランスの国立デジタルアーカイブ機関のうち、フランス国立図書館(BnF)とフランス国立視聴覚研究所(INA)に訪問調査をおこなった。BnFのGallicaプロジェクトでは年約10億円の予算で蔵書のデジタル化を進めており、すでに新聞・雑誌210万号、画像120万点、書籍55万冊を公開している。BnFはEuropeanaの創設メンバーであり、今も強力に推進している。INAはテレビ・ラジオ番組の法定納入機関として、1400万時間の番組を収集し、INAthèque を通じて学術研究者に公開している。また、商業利用できる番組200 万時間分をINAmediaproを通じて世界に販売している。その一部はina.frから一般公開している。
著者
菊池 信彦 内田 慶市 岡田 忠克 林 武文 藤田 高夫 二ノ宮 聡 宮川 創
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.32-37, 2021-01-12 (Released:2021-02-24)
参考文献数
11

本稿は、筆者を含め、関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(以下、KU-ORCAS)の研究者を中心とした学内の共同プロジェクトとして実施している「コロナアーカイブ@関西大学」について論じている。コロナアーカイブ@関西大学は、ユーザ参加型のコミュニティアーカイブの手法を用いて、COVID-19の流行という歴史的転換期における関西大学の関係者の記録と記憶を収集している、デジタルパブリックヒストリーの実践プロジェクトである。本稿では、パブリックヒストリーという研究動向の紹介を踏まえたうえで、世界的な動向におけるコロナアーカイブ@関西大学の位置付けやその特徴、そして収集している資料の性格等について論じる。