著者
大坪 英之
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.20-24, 2022-02-01 (Released:2022-03-22)
参考文献数
14

現在日本においてアニメ作品は日々大量に制作されていることは異論がないが、しかし、どのような作品が公開されたり、過去にどのようなパッケージが販売されていたのかは十分に明らかではない。また、それら作品制作/製作に関わったスタッフ等については、公開されている情報の中でも内容の信憑性が保証されたものは限られている。現在公開されている情報のうち、どこまでが信用できるのか、それはなにに依拠しているのか、現在進行形で対処している事はなにか、問題解消を阻む障壁はなにかについて明らかにする。
著者
金山 智子 小林 孝浩 伏田 昌弘 津坂 真有
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s49-s52, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
4

近年、渋谷や新宿、六本木など都心では夏のイベントとして盆踊りが開催され、若者たちに人気を博している。また各地の盆踊りを行脚する者もおり、岐阜県郡上市の郡上おどりのように全国から若者たちが集まる盆踊りもある。盆踊りがイベントとして盛り上がる一方、地元スタッフの高齢化や若者の参加者の減少など、多くの地域では盆踊り大会が縮小傾向にある。このような状況下、本来、盂蘭盆に精霊を迎え送る風習から生まれた伝統芸能としての盆踊りをいかに次世代へと継承していくのかが一つの課題となっている。本研究では、岐阜県本巣市旧根尾村の各集落にて毎年盆に拝殿で行われる盆踊りを映像撮影し、これをもとにアバターを用いた3Dのバーチャルな盆踊りを制作、ネット配信を試みる。YouTube世代の子どもや若者に向け、また、新型コロナウィルス感染防止で人が集まることが難しい状況下、自宅で楽しみながら盆踊りを学ぶことの可能性について考察し、報告する。
著者
福井 健策
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.252-253, 2021-10-01 (Released:2021-11-15)
参考文献数
1
著者
時実 象一
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.1, no.Pre, pp.76-79, 2017-09-08 (Released:2017-09-08)
参考文献数
12

著作権を始めとするコンテンツに対する権利は、デジタル化する際だけでなく、これを公開する際にも重要である。「デジタルアーカイブの連携に関する関係省庁等連絡会・実務者協議会」の「ガイドライン」、国内、海外の事例、Europeana/DPLAの開発によるRights Statementsについて調査したので報告する。
著者
常石 史子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.175-178, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
1

フィルムアルヒーフ・オーストリアは、映画フィルムおよび映画関連資料の収集・保存および公開を使命とするフィルムアーカイブであり、デジタルアーカイブの構築にも積極的に取り組んでいる。2012年以降は「あなたのフィルムが歴史をつくる」をモットーに、各州政府および国内最大の放送局ORFと共同で、ホームムービーの収集およびデジタル化を継続的に行なっている。ブルゲンラント、ニーダーエスターライヒ、サルツブルクの各州から収集し、デジタル化を完了したフィルムは11万本を超え、ホームムービーの分野では先駆的かつ最大のデジタルアーカイブの一つとなっている。本報告では、中でも最大規模のニーダーエスターライヒ州の例を中心に、7万本を超えるフィルムを正味3年足らずの期間にデジタル化するにあたり、浮上した様々な課題について述べる。
著者
渡邉 英徳 庭田 杏珠
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.317-323, 2019-06-24 (Released:2019-08-30)
参考文献数
12

本稿では、デジタルアーカイブ/社会に“ストック”されていた白黒写真をAI技術でカラー化し、ソーシャルメディア/実空間に“フロー”を生成する活動について報告する。被写体が備えていたはずの色彩を可視化することによって、白黒写真の凍りついた印象が解かされ、鑑賞者は、写し込まれているできごとをイメージしやすくなる。このことは、過去のできごとと現在の日常との心理的な距離を近づけ、対話を誘発する。こうして生成された“フロー”においては、活発なコミュニケーションが創発し、情報の価値が高められる。この方法は、貴重な資料とできごとの記憶を、未来に継承するための一助となり得る。
著者
有賀 暢迪 橋本 雄太
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.162-164, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
3

国立科学博物館では、科学技術史資料として日本の科学者の個人資料を収集・保存している。こうした「科学者資料」にはノート、原稿、書簡、写真、辞令、身の回り品などが含まれ、展示室内で全体を紹介することが難しい。他方で、近年急速に広まっているIIIF(International Image Interoperability Framework)は、この種の資料をインターネット上で「展示」するための新たな手法をもたらしつつある。本研究では、植物学者・矢田部良吉(1851-1899)の資料を事例とし、資料画像のIIIFでの公開を前提とした上で、これを利用して電子展示を行うシステムを試作した。このシステムでは、自館の所蔵資料に他館からの「借用」資料を組み合わせ、それぞれに「キャプション」を付して、一つのストーリーの下に「展示」できるほか、「展示替え」も容易に行える。本システムは、IIIFを利用することにより、博物館が伝統的に行ってきた展示室での展示と同様のことをインターネット上で実行可能にしたものである。
著者
大井 将生 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.e24-e32, 2023 (Released:2023-07-03)
参考文献数
34

本稿ではデジタルアーカイブ資料の活用を促進する二次利用条件のあり方を提示する。まず、ジャパンサーチとADEACを対象として資料の二次利用条件を調査する。その結果、それぞれ38.9%、57.9%のアーカイブで活用の阻害要因となる条件が設定されていることが確認された。この課題をふまえ、資料公開機関と教員による教材化ワークショップを実践する。その結果、酒田市の事例では、学校利用が制限なく可能な条件に変更された。以上より、1. 多くのアーカイブで活用の阻害要因となる二次利用条件が設定されていること、2. 資料公開機関とユーザが活用を基盤とした連携を行うことで資料のオープン化を推進できる可能性が示唆された。
著者
神崎 正英
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.342-347, 2020-10-01 (Released:2020-11-16)
参考文献数
15

ジャパンサーチ利活用スキーマは、多様な領域のデータを集約・提供する統合ポータルのためのRDFモデルおよび語彙である。設計にあたっては、海外の統合ポータル事例も参照しつつ、利用者タスクの観点で扱いやすく、また連携元にもメリットがあることを目指した。その基本として、構造化ノードと単純プロパティを併記する二層記述、ソースとアクセス情報のグループ化などを採用している。基本部分設計の検討ポイントを説明するとともに、時間・場所情報の表現および正規化の細部について、SPARQLの機能を踏まえた工夫を紹介する。
著者
田村 卓也 新垣 瑛士 堀川 輝之
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.e21-e24, 2022 (Released:2022-07-27)
参考文献数
6

沖縄県では、自治体による地域史の刊行が盛んにおこなわれているものの、そこには資料の収集や活用という点において、いくつかの課題が存在する。本稿では、沖縄県南城市「なんじょうデジタルアーカイブ」の事例を紹介し、地方自治体における地域史編さん業務とデジタルアーカイブの連携について考察した。膨大な資料を扱う地域史編さん業務において、デジタルアーカイブは資料の管理や活用に大きな役割を果たす。今後、沖縄でデジタルアーカイブを活用した地域史研究を活性化させるためには、自治体間において活用事例やノウハウの共有を進める必要がある。
著者
福田 一史 北島 顕正 井上 奈智
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.s2, pp.s47-s50, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
14

近年、多くのボードゲームが制作・頒布されるようになった。しかし、これらゲームは未だ図書館など既存のアーカイブ機関のスコープには入っておらず、すでに多くのゲームが失われつつあり、保存スキームの構築が急務である。本研究では、そのような背景を踏まえ2022年に設立された一般社団法人アナログゲームミュージアム運営委員会による、所蔵品検索システムの開発を軸として、その資料の整理・記述・デジタイズ・アクセス提供といった施策について述べる。 同機関はゲームユーザの集合で成り立つ自律的でグラスルーツ型の組織であるため、低コストな事業推進が一つの命題となる。そのために如何に低コストで効果的なアクセス提供が可能となるか、そのための効率的なフロー構築について集中的に検討と試行をすすめてきた点に特徴がある。 本施策を通じて明らかになったノウハウや課題を整理することで、メディアを介在した地域に限定されないコミュニティのためのアーカイブ構築の方法論への知見を整理する。
著者
武内 樹治 高田 祐一
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.e16-e20, 2022-05-06 (Released:2022-04-04)
参考文献数
15

文化財の継承・保存・活用にはオープンデータの公開が有用であり、政府によって文化財情報の公開が推奨されている。本研究は、日本全国の文化財に関するオープンデータの取り組みや公開状況を調査し、現状分析を行ったうえで課題を明らかにすることが目的である。調査の結果、推奨フォーマットを利用したうえで指定の項目まで一致したデータセットを公開している自治体はかなり限られており、再利用性に課題があることが明らかになった。推奨フォーマットに準拠した文化財オープンデータ公開自治体を増加させるには、より分かりやすく文化財に適したデータセット作成の仕組みを整備する必要がある。
著者
東 由美子 時実 象一 平野 桃子 柳 与志夫
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.35-40, 2019-01-07 (Released:2019-02-18)
参考文献数
20
被引用文献数
1

欧米と比較すると、我が国ではデジタル編集導入以前の過去に発行された地方新聞のデジタルデータは、活用以前に公開自体ほとんど進んでいない。しかし、古い新聞原紙の劣化の進行、地方紙の地域における役割の重要性等に鑑みて、過去の地方紙のデジタル化は今後の我が国のデジタルコンテンツ形成、及びデジタルアーカイブ構築にとって極めて重要な課題といえよう。筆者らは2017年2月から5月に日本新聞協会の協力を得て、協会に加盟する地方新聞社73社に対し、デジタル化に関するアンケート調査をおこなった(回収率64.4%)。本稿ではその概要について報告し、地方紙のデジタル化やデータの公開に関する課題、問題点等を検討する。
著者
大井 将生 宮田 諭志 大野 健人 大向 一輝 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.e1-e9, 2023 (Released:2022-11-25)
参考文献数
36

本研究の目的は、探究学習における生徒の「問い」と「資料」の接続を支援する学習モデルを開発することである。その手法として、生徒自身の「問い」を起点とした「キュレーション学習」を提案する。また、分野横断型検索プラットフォーム「ジャパンサーチ」の検索機能と協働キュレーション機能を「キュレーション学習」における協働的な資料収集と「問い」の構造化を支援する空間として活用する。この手法を用いて、中学校において継続的な授業実践を行ない、生徒のリテラシー変容を分析する。その結果、学習成果物に対する評価点が有意に上昇し、生徒の「問い」に基づいて「資料」を収集する力や「資料」をもとに考察する力が向上したことが示唆された。このことから、提案手法の効果が確認され、探究学習における生徒の「問い」と「資料」の接続を支援する学習モデルを開発することができたと考える。
著者
佐々木 和子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.e19-e23, 2023 (Released:2023-06-12)
参考文献数
8

神戸大学附属図書館震災文庫では、阪神・淡路大震災直後のサンテレビ震災関連映像を、2021年1月から4回にわたって、公開用動画1件、素材映像189件を公開している。公開の障壁となってきた肖像権について、デジタルアーカイブ学会「肖像権ガイドライン」を参考に判別をおこなった。作業は、人文学研究科教員たちが一コマずつ映像を確認し、その後サンテレビ、震災文庫、神戸大学人文学研究科の三者での検討会で協議を経て公開にいたった。阪神・淡路大震災から28年経た。今回の検討の結果、ガイドラインを利用して丁寧にポイント計算していけば、ほとんどの映像の肖像権による壁は越えうることがわかった。今後は、阪神・淡路大震災被災地共通のポイントのあり方を考え、災害アーカイブに適したガイドラインの作成が課題である。
著者
坂倉 基
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.47-51, 2022-02-01 (Released:2022-03-22)
参考文献数
13

本稿は2020年8月に開館した角川武蔵野ミュージアムとその内部施設であるマンガ・ラノベ図書館の成立過程を入り口とし、小説分野においてエンターテインメント性の強い作品を扱うアーカイブの必要性を確認するとともに、同施設の活動であるライトノベルアーカイブプロジェクトについて概説する。開館当初、株式会社KADOKAWAの刊行作品のアーカイブとしてスタートした同施設が、現在なぜ“ライトノベル”と呼ばれるエンターテインメント性の強い小説作品の網羅的な収集=アーカイブプロジェクトを実施し、出版社横断的な施設として活動するに至ったか。その過程を整理し、紹介したい。
著者
常石 史子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.394-398, 2019-12-16 (Released:2019-12-16)
参考文献数
10

フィルムアーカイブにおける映画の復元と保存のミッションを、1)ソース(復元の元になるオリジナル素材)の保存 2)ソースの復元 3)複製物の保存 の3点に整理し、アナログ・デジタル両面について論じる。その上で、LTO (Linear Tape-Open)を用い、デジタル・マスター等をオフラインで長期保存する際に生じるマイグレーションの困難を、デジタル・ジレンマの具体例として示し、アナログ保存とデジタル復元のハイブリッドによる当面の解決策を紹介する。