- 著者
-
中川 美恵
栢下 淳
- 出版者
- 公益社団法人 日本栄養士会
- 雑誌
- 日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.9, pp.465-471, 2023 (Released:2023-09-01)
- 参考文献数
- 28
介護老人保健施設入所者を対象に、身体計測、食事形態、握力や歩行能力、口腔機能調査を行い、常食摂取と関連のある要素について検討を行った。本研究は横断研究である。対象者73人の属性は平均年齢82.3±8.2歳、男性20人(27.4%)、女性53人(72.6%)であった。常食群と形態調整食群の2群に分けて検討を行った結果、常食群でBMI、上腕三頭筋皮下脂肪厚(Triceps Skinfold Thickness;TSF)、握力が高く(p<0.05)、咀嚼能力が良好な者の割合が高かった(p<0.05)。歩行能力別の比較では、歩行能力が低下するにつれて、常食摂取者の割合が低下し、形態調整食摂取者の割合が増加した。常食摂取と関連のある要素として、咀嚼力や舌圧値等の口腔機能と握力および歩行能力が示唆された。また、ADLの低下に伴い、食事形態も軟食化傾向となり、栄養状態の低下につながることから、多職種と連携して、口腔機能や筋力の維持に努める必要がある。さらに、形態調整食群ではエネルギー摂取量やたんぱく質量を確保する必要性が示唆された。