著者
若林 秀隆 栢下 淳
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.871-876, 2014 (Released:2014-06-23)
参考文献数
9

【目的】摂食嚥下障害スクリーニング質問紙票であるEAT-10の日本語版を作成し、信頼性・妥当性を検証する。【対象及び方法】EAT-10英語版の順翻訳、逆翻訳、英語原版と逆翻訳の整合性の検討を行い、EAT-10日本語版を作成した。次に摂食嚥下障害もしくは摂食嚥下障害疑いの要介護高齢者393人を対象にEAT-10日本語版を実施した。信頼性を内的整合性であるクロンバッハのα係数で、妥当性を臨床的重症度分類とスペアマンの順位相関係数でそれぞれ検討した。【結果】EAT-10日本語版を実施できたのは237人(60%)であった。クロンバッハのα係数は0.946であった。EAT-10を実施できない場合、摂食嚥下障害と誤嚥を有意に多く認めた。EAT-10と臨床的重症度分類に有意な負の相関(r=-0.530、p<0.001)を認めた。EAT-10で3点以上の場合、誤嚥の感度0.758、特異度0.749であった。【結論】EAT-10日本語版の信頼性・妥当性が検証された。EAT-10日本語版は、摂食嚥下障害スクリーニングに有用な質問紙票である。
著者
中東 教江 山縣 誉志江 栢下 淳
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.289-293, 2015 (Released:2015-03-27)
参考文献数
10

本研究では、舌圧を評価することにより食形態を決定することが可能かどうかを検証することを目的とし、合わせてどの施設でも測定可能な握力との関連性を検証した。健常な高齢者と、病院や施設に入院・入所している高齢者を対象に、簡易型舌圧測定装置を用いて舌圧を評価し、食形態や握力との比較を行い、その関連性を検討した。その結果、入院・入所している高齢者では、舌圧と握力は年齢とともに低下した。食形態の違いによる舌圧の差は認められなかったが、握力が20kgまたは舌圧が35kPaを上回ると、常食を摂取できることが示唆された。
著者
渡邊 英美 床井 多恵 高田 耕平 松田 梨江 太田 紗彩 八十田 あかね 窪田 沙代 佐野 千春 栢下 淳 小切間 美保
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.215-221, 2021-12-31 (Released:2022-05-11)
参考文献数
9

【目的】嚥下調整食の提供が行われている病院や高齢者施設などで物性測定装置を設置している施設は少ないため,学会分類2013(食事)では物性値は表記されていない.そのため,嚥下調整食の形態の解釈は特にコード4 において,施設により異なっていることがある.今後,嚥下調整食分類の共通化をさらに進めるためには,物性測定装置がなくてもかたさを評価できる簡易的な方法が必要である.本研究では,棒と電子秤を用いた方法(秤法)および凸型キャップとペットボトルを用いた方法(PB 法)の2種類のかたさの簡易評価方法を検討した.【方法】加工食品および生鮮食品34 種類を試料とし,縦・横20 mm,高さ10 mm に切り分けた.試料温度は20±2℃とした.クリープメータRE2-3305C(山電)のステージに試料を置き,直径5 mm のプランジャーを用いて測定速度1 mm/ 秒で押し込み測定を実施し,歪率0~90% における最大値をかたさとした.秤法では,電子天秤の上にのせた試料を直径5 mm の棒で押し込み,貫通するまでに表示された最大重量を測定値とした.PB 法では,ペットボトルに凸部の直径5 mm のキャップを装着し,キャップを下にしたときの先端の圧力が100 kPa または200 kPa になるように水を入れた.試料の中央にのせたキャップの凸部がボトルの重さで貫通した場合をかたさ100 kPa 未満または200 kPa 未満と判定した.【結果】クリープメータによる測定の結果,試料のかたさは7~564 kPa であった.秤法で得られた値をかたさに対してプロットすると,秤法=かたさの直線に近く,Spearman の相関係数は0.956~0.969 と強い正の相関が認められた.PB 法では,100 kPa 未満,100 kPa 以上200 kPa 未満,200 kPa 以上の3 段階で判定を行うことができた.ただし,7 種類の試料でクリープメータ測定の結果と一致しなかった.【結論】秤法,PB 法ともに,コード4 の嚥下調整食に含まれる食材のかたさの簡易評価方法として,活用可能であることが示唆された.
著者
佐野 淳也 中根 綾子 高島 真穂 戸原 玄 武藤 徳男 小野 武也 栢下 淳
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.58-65, 2016-06-30 (Released:2016-07-23)
参考文献数
35
被引用文献数
1

目的:要介護高齢者は摂食嚥下障害を有する人が多く,摂取可能な形状が限られるため低栄養に陥りやすい。嚥下調整食の調理では,食品に水を多く含有させて軟らかく仕上げるため栄養が希釈されてしまう。そこでたんぱく質含有量が多いが高齢者が摂取しにくい肉や魚に対し,効率的なエネルギー源である油脂を添加してテクスチャーを調整した嚥下調整食品の咀嚼特性に関して,物性測定,官能評価,筋電図測定を用いて検証した。 方法:肉と魚より鶏肉とかまぼこを選び,それぞれ油脂を添加した試料(油脂あり),添加しない試料(油脂なし)を調製した。物性は硬さ,凝集性,付着性を,官能評価は食べやすさに関する6項目を評価し,筋電図測定より咀嚼回数,咀嚼時間,咀嚼周期,嚥下回数を求め,油脂の有無による差を解析した。 結果:物性測定では,鶏肉,かまぼこともに油脂ありが油脂なしより有意に軟らかくなった(p<0.05)。官能評価では,鶏肉,かまぼこともに,油脂ありが油脂なしより有意に軟らかく,なめらかで,まとまりやすく,飲み込みやすいという評価を得た(p<0.05)。筋電図測定では,鶏肉の油脂ありが油脂なしに比べて,咀嚼回数,咀嚼時間,咀嚼周期が有意に減少した(p<0.05)。 結論:本研究結果より,食品に油脂を添加することで咀嚼への負担が軽減されることが示唆された。今後,咀嚼困難者を対象とした嚥下調整食の調製方法として油脂の応用が期待される。
著者
栢下 淳
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.691-697, 2017-09-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
8
被引用文献数
2

わが国ではおもてなしの気持ちが強いので,咀嚼機能や嚥下機能の低下した高齢者にさまざまな嚥下調整食が提供できるように工夫されてきた.しかし,病院や施設ごとに呼称や形態が異なっていては連携がしにくいため,いくつかの嚥下調整食分類が提案された.最近では日本摂食嚥下リハビリテーション学会が作成した学会分類2013が医療現場では浸透し始めている.市販介護食の分類としては農林水産省のスマイルケア食が活用されると期待される.学会分類2013とスマイルケア食は形態が同じであれば,コード番号も同じになるように設定されているため,病院から在宅に戻った際にも,嚥下調整食の選択が容易になり,在宅療養しやすい環境が整ってきた.
著者
渡邊 英美 床井 多恵 辻 秀治 志藤 良子 若林 悠 阿部 杏佳 石井 真帆 三原 彩 栢下 淳 小切間 美保
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.130-142, 2020-08-31 (Released:2020-12-31)
参考文献数
10

【目的】日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013(学会分類2013)によって,病院や高齢者施設における嚥下調整食の段階の共通化が進んでいる.しかしながら,食事形態の説明が文言のみで物性値が示されていないため,特にコード3 や4 で人によって解釈が異なることがある.嚥下調整食分類をさらに発展させるためには,不均質な食品の物性測定方法の確立が必要である.本研究では,コード4 に基づいて調理された嚥下調整食のかたさを測定し,その目安を示すことを試みた.【方法】京都市内の介護老人保健施設の27 日間の昼食で提供した軟菜食(学会分類2013 コード外)の主菜および副菜中の199 食材とやわらか食(コード4 相当)の主菜および副菜中の156 食材を試料とした.施設で提供した嚥下調整食は,言語聴覚士,管理栄養士および調理師が学会分類2013 のコードに適応しているか否かを検討して提供可能と判断したものであった.やわらか食の喫食者は主に咀嚼機能が低下した利用者であった.使用食材を嚥下調整食の中から取り出してクリープメータRE2-3305C(山電)の試料台に置き,直径5 mm のプランジャーを用いて測定速度1 mm/s,試料温度20℃で破断測定を実施した.歪率0~90% における最大値をかたさとした.1 食材につき5 サンプルを測定して平均値を算出した.【結果】やわらか食では156食材のうち150食材(96%)でかたさは200 kPa 未満であったのに対して,軟菜食は199食材中81食材(40%)のかたさが200 kPa 以上であった.本研究のかたさ測定方法により,やわらか食と軟菜食のかたさの違いを評価できた.比較のために測定したユニバーサルデザインフードの歯ぐきでつぶせる(コード4 相当)に区分される商品に含まれる食材のうち,にんじんやじゃがいものかたさは200 kPa 未満であったが,しいたけや肉類は200 kPa 以上となった.【結論】この物性測定方法はコード4 に相当する嚥下調整食の新たなかたさ評価方法となる可能性が示唆された.
著者
佐藤 光絵 山縣 誉志江 栢下 淳
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.102-113, 2021-08-31 (Released:2021-12-31)
参考文献数
24

【目的】嚥下調整食学会分類2013 推奨のとろみ液の簡易評価法であるLine Spread Test(LST)は,溶媒や増粘剤の種類によっては正しく粘度評価できないと報告されている.一方,International Dysphagia Diet Standardisation Initiative(IDDSI)推奨のシリンジテストを検証した報告は少ない.本研究は,シリンジの種類による誤差の検証,溶媒の種類による影響の検証,およびLST との比較を目的とした.【方法】試料は,ずり速度50 s-1 における粘度が50,150,300,500 mPa・s 程度になるよう,とろみ調整食品で粘度調整した.試験1:水と経腸栄養剤をキサンタンガム系,デンプン系のとろみ調整食品でとろみ付けし,3社(BD, TERUMO, JMS)のシリンジを用いてテストを行った.また,BDの結果より検量線を作成し,各シリンジテストの残留量より粘度を推計,誤差を検証した.試験2:水,食塩水,お茶,オレンジジュース,経腸栄養剤をキサンタンガム系とろみ調整食品でとろみ付けし,シリンジテストを行った.試験3:水と経腸栄養剤をキサンタンガム系とろみ調整食品でとろみ付けし,シリンジテストとLSTを行った.【結果と考察】試験1:シリンジの種類により残留量が変化したが,BD のシリンジテストの検量線を用いてTERUMO・JMS の残留量より粘度を推計したところ,全試料の約8 割は粘度との差が10% 未満で,現実的に問題は少ないと思われた.試験2:お茶とオレンジジュースは水と同様の残留量となった.経腸栄養剤は残留量が他の溶媒より少ない傾向があり,食塩水はばらつきが大きかった.経腸栄養剤は実際の粘度より薄く評価しやすいこと,食塩水はテスト値が不安定であることに注意を要すると思われた.試験 3:LST は経腸栄養剤の全試料において,低粘度の水よりLST 値が高くなることがあった.シリンジテストは,LST でみられたような順位の逆転が粘度の高い領域のみでみられた.薄いとろみに関しては粘度の分類に矛盾がない点において,シリンジテストはLST よりとろみ液の簡易評価法として優れていると考えられた.
著者
田中 厚吏 石﨑 直彦 宮地 隆史 栢下 淳
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.34-43, 2023-04-30 (Released:2023-09-10)
参考文献数
25

【目的】神経筋疾患患者の嚥下造影検査を後方視的に調査し,ゼリー・とろみ付き液体における物性の差異による誤嚥や咽頭残留との関連を調査した. 【方法】対象者は,嚥下造影検査(VF)を実施した神経筋疾患患者で診療録から後方視的に調査した.調査項目は基本情報としてVF 実施時点の年齢,身長,体重,BMI,摂食状況,食事形態を調査した.VF 側面像から固さ5,000 N/m2 および8,500 N/m2 の異なるゼリー,薄いとろみ(粘度116.6 mPa・s)および中間のとろみ(粘度276.8 mPa・s)の検査食を用い,誤嚥の有無,咽頭残留の有無を調査した.統計解析は,検査食の誤嚥・咽頭残留の比較にはχ2検定,Fisher の正確確率検定を用いた.また,誤嚥・咽頭残留の有無における年齢・BMI の比較にはt 検定を用いた. 【結果】期間中にVF を実施した65 名(男性:28 名,女性:37 名)を解析対象とした.誤嚥は検査食間で有意な差は認めなかった.喉頭蓋谷残留は,ゼリー5,000 N/m2 に比べ薄いとろみのほうが有意に少なく(p<0.05),ゼリー8,500 N/m2 では,中間のとろみおよび薄いとろみのほうが有意に残留が少なかった(p<0.05,p<0.01).梨状窩残留は,ゼリー5,000 N/m2 に比べ,薄いとろみのほうが有意に少なかったが(p<0.05),その他の物性間で差はみられなかった. 【結論】神経筋疾患患者における食品物性の違いによる誤嚥・咽頭残留との関連を調査した結果,咽頭残留の観点からは薄いとろみ程度の液体が適切である可能性が示唆された.
著者
堤 理恵 西口 千佳 長江 哲夫 前川 ひろみ 中井 敦子 谷本 幸子 三村 誠二 長江 浩朗 栢下 淳子 中屋 豊
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.929-935, 2012 (Released:2012-06-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【目的】Nutrition Support Team (NST) が稼働している施設において、整形外科手術後7日間の高齢患者に対する栄養摂取状況と必要エネルギー達成率について検討を行った。【方法】対象患者は、全身麻酔下にて整形外科手術を実施した70歳以上の高齢者とし、レトロスペクティブに検討を行った。【結果】対象患者は、本研究の趣旨に賛同した6施設、合計102症例 (男/女 : 36/66) とした。年齢78.2±5.4歳 (mean±SD)。総摂取エネルギー量は、術後1日目1012±602kcal、3日目1280±491kcal、5日目1404±431kcal、 7日目1407±420kcalであり、このうち1-2日目は輸液併用患者が42%であった。また、必要エネルギー達成率は、術後5日目は40%であった。施設間において総エネルギー量はばらつきが大きく最大で2倍以上の差が認められた。【結語】どの施設でも術後の栄養摂取状況は術後5日間で徐々に増加したが、目標量に達成している患者は全体の40%と少ないことが示唆された。
著者
中川 美恵 栢下 淳
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.465-471, 2023 (Released:2023-09-01)
参考文献数
28

介護老人保健施設入所者を対象に、身体計測、食事形態、握力や歩行能力、口腔機能調査を行い、常食摂取と関連のある要素について検討を行った。本研究は横断研究である。対象者73人の属性は平均年齢82.3±8.2歳、男性20人(27.4%)、女性53人(72.6%)であった。常食群と形態調整食群の2群に分けて検討を行った結果、常食群でBMI、上腕三頭筋皮下脂肪厚(Triceps Skinfold Thickness;TSF)、握力が高く(p<0.05)、咀嚼能力が良好な者の割合が高かった(p<0.05)。歩行能力別の比較では、歩行能力が低下するにつれて、常食摂取者の割合が低下し、形態調整食摂取者の割合が増加した。常食摂取と関連のある要素として、咀嚼力や舌圧値等の口腔機能と握力および歩行能力が示唆された。また、ADLの低下に伴い、食事形態も軟食化傾向となり、栄養状態の低下につながることから、多職種と連携して、口腔機能や筋力の維持に努める必要がある。さらに、形態調整食群ではエネルギー摂取量やたんぱく質量を確保する必要性が示唆された。
著者
西村 圭織 栢下 淳
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.180-189, 2022-12-31 (Released:2023-04-30)
参考文献数
32

【目的】通所リハに通う要支援・要介護高齢者を対象に,低栄養と関連する要因を口腔・嚥下機能,食事摂取頻度に焦点をあて,低栄養の人数割合,口腔・嚥下機能,食事摂取頻度の調査,検討した研究である.これらの結果をもとに適切な栄養管理方法について考える.【対象者および方法】2017 年11 月から2018 年6 月まで,通所リハを利用している65 歳以上の地域在住高齢者で要支援1,2,要介護1~3 の118 名を対象とした.また,研究方法の理解が可能な者で,研究に同意を得られたものとした.研究デザインは横断研究である.調査項目は,栄養状態(Mini Nutritional Assessment Short-Form,BMI),口腔機能[ 最大舌圧値,摂食状況のレベル(FILS),オーラルディアドコキネシス(OD),咀嚼能力の評価],嚥下機能[改訂水飲みテスト(MWST),EAT-10,水分の一回嚥下量],食事摂取頻度(食品多様性スコア,食習慣)とし,栄養状態の評価より低栄養群,低栄養のリスク群および良好群の3 群に分け,統計学的解析を行った.【結果および考察】低栄養群が23 名(19.4%),低栄養リスク群が63 名(53.4%),栄養状態良好群が32 名(27.2%)であった.口腔・嚥下機能では,栄養状態と舌圧,水分の一回嚥下量,EAT-10 が関連していた(p<0.05).食品摂取多様性スコアでは,低栄養群で栄養状態良好群と比較して低い傾向がみられた(p=0.059).低栄養群では食品摂取の多様性スコアの点数が低く,特にたんぱく質の多い食品の摂取が少ないことがわかった.食物摂取頻度では,栄養状態と鶏肉および麺類に有意な関連がみられ(p<0.05),いずれも栄養状態良好群に比べて,低栄養群が少なかった.低栄養群は口腔・嚥下機能の項目および食品摂取の多様性スコアと関連がみられたことから,口腔・嚥下機能の障害が食事に影響していることが考えられる.【結論】低栄養は口腔・嚥下機能低下,食事摂取頻度に関連していた.要支援・介護になる前の段階から,口腔・嚥下機能低下予防を含めた低栄養対策を行うことが重要と考えられた.
著者
丸山 道生 栢下 淳 高見 澤滋 渡邉 誠司 高増 哲也 東口 髙志
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.310-316, 2019 (Released:2020-06-15)
参考文献数
13

本邦では2019年末より,現行の経腸栄養用誤接続防止コネクタである医薬発第888号広口タイプコネクタ(以下,現行コネクタと略)が廃止され,誤接続防止コネクタに係る国際新規格であるISO80369-3(以下,ISOコネクタと略)が導入される.ISOコネクタのオス型コネクタは内腔の最小口径が狭いため,ミキサー食の注入に際し,注入圧の上昇によって注入が困難になる懸念がある.今回,小児病院3施設それぞれにおいてミキサー食の胃瘻注入を行っている患児の家族3名,看護師3名の計6名に対し,各施設の標準的ミキサー食の注入を行い,現行コネクタとISOコネクタの比較を行った.同時に,用いたミキサー食の物性も検討した.注入実験において,観察項目のミキサー食の投与時間,シリンジ持ち替え回数,主観的評価の「負担感」と「問題なく使用できるか」,いずれにおいても現行コネクタとISOコネクタで統計学的な有意差は認められなかった.この結果から,ISOコネクタでのミキサー食の注入は現行コネクタと変わりなく可能と判断された.
著者
吉川 峰加 栢下 淳 津賀 一弘 木村 浩彰 吉田 光由
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

背景:本研究では,全身の機能と口腔機能との関連を横断調査で確認し,希望した者に栄養指導または口腔リハビリテーションを8週間実施することで,半年毎に平成31年秋まで全身・口腔機能に変化があるか否かを確認することを目的とした.方法:対象者は自分の歯または義歯等で咬合の安定している41名(男性17名,女性24名,68-90歳)とした.全身疾患,服薬状況,日常生活に関する質問票,MMSE,EAT-10,MNA-SF,口腔機能評価としてディアドコキネシス,最長発声持続時間,3オンステスト,口腔湿潤度,咬合力検査,舌圧検査,咀嚼能率検査を実施した.また握力,歩行速度,膝伸展力を計測し,栄養調査とINBODYによる体組成調査を行った.結果:協力者は皆高血圧等の全身疾患を有するものの自立して日常生活を送っていた.前向き調査へ参加できている者は,対照群18名(男性9名,女性9名),栄養指導群13名(男性6名,女性7名),口腔リハ群8名(男性3名,女性5名)であった.第一回目の調査結果より,MNA-SFで低栄養の疑いのあった者は8名(男性2名,女性6名),サルコペニアの者は7名(男性3名,女性4名)であった.これら低栄養やサルコペニアを呈する者は舌圧やEAT-10との相関が認められなかった.また舌圧が20kPa未満の者において,EAT-10 の錠剤服用困難感の項目で関連を認めた.加えて,女性において舌圧と膝伸展力に有意な相関を認めた.まとめ:本研究協力者は日常生活を自立して送る,健康に自信のある者が大多数であったものの,サルコペニアやオーラルフレイルを有する者が存在した.また栄養調査より,高齢者の栄養や運動に関する知識に偏りを認め,今後我が国の健康寿命延伸の上で,大きな課題が浮き彫りとなった.
著者
栢下 淳
出版者
県立広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

嚥下障害や咀嚼障害者に対する栄養管理は、経口からの栄養補給と非経口からの栄養補給を併用することが多い。経口摂取する場合に、適切な物性の食事提供は難しいと考えられている。そこで、経口摂取を進めるために段階的な嚥下食物性値に準じた市販食品に分類およびレシピについて検討した。また、この段階的な嚥下食物性値は、2009年から施行された厚生労働省特別用途食品えん下困難者用食品の基準策定にも用いられた。