著者
品川 森一 久保 正法 山田 明夫 古岡 秀文 中川 迪夫 堀内 基広
出版者
帯広畜産大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、従来から行われているウエスタンブロット(WB)法の試料調整法の改良を行った。その結果、マウスモデルでは、腹腔内接種1週目から脾臓にプリオン蛋白が検出できるようになった。多数検体を検査するためには、より簡便なプリオン検出法が必要であり、マウスモデルを用いてELISA法を開発した。検出感度はウエスタンブロット法のおよそ2倍であった。中枢神経系組織からの試料調整を簡便化し、実際に羊材料に応用可能なことを確かめた上で、この方法の有用性を北海道のと蓄場から分与を受けた羊材料を用いて検証した。また、さらに検出感度を高めるために、ELISAの検出系に光化学反応試薬を導入したところ、およそ20倍ほど検出感度が上昇した。まさらに、コラーゲン中のプリオン検出のための試料調整法も検討し、前処理法としてコラーゲンの粘性を低下させ、大容量から比較的選択的にプリオン蛋白を濃縮することが可能となり、プリオン汚染の検出法に目処がついた。一方、プリオン病は宿主のプリオン蛋白の遺伝子に多型があり、その型によって感受性が異なる。国内の羊プリオン遺伝子型の出現頻度とスクレイピ-との関連を検討した。またプリオンの蓄積は主として中枢神経系であり、少量であるが細網内皮系の組織にも起きる。診断に有用な組織採取部位を決定するためにも、詳細なプリオン蛋白発現の違いを明かにする必要があり、羊体内のプリオン蛋白発現を調べた。さらに伝達性海綿状脳症のプリオン以外の危険因子の検討を人海綿状脳症に倣い、アポ蛋白Eを標的として検討した。