著者
中平 伸二 金子 国雄 田中 耕作
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.47-51, 1990-01-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
13

鶏の長腓骨筋の死後硬直の過程を連続的に測定する方法を考案した。すなわち,筋肉ストリップ(5×25mm)を注射筒内に糸で吊し,流動パラフィンを注入して嫌気的条件にしたのち,ストレインゲージトランスジューサーに連結して筋肉の張力を測定した。この方法を用い,各種処理がその後の筋肉硬直に及ぼす影響を観察した。なお,特に述べないかぎりは,嫌気的条件で筋肉の動向を観察したものである。1) 本実験装置を用いた方法は,鶏筋肉の死後硬直過程を長時間継続して観察するのに有効であることが認められた。2) 嫌気的条件下で17°Cの温度におくと硬直は約2時間後にピークに達した。一方,好気的条件下では硬直は顕著で長時間継続した。3) 超音波処理を25°C-10分間行うと,硬直の程度は弱くなることが観察された。4) EGTA処理によってカルシウムイオンを除去すると硬直は起こらなかった。5) 下垂体除去約1日後屠殺した場合,死後硬直の程度は,正常鶏の場合とほぼ同様であったが,屠殺前麻酔処理を行うときわあて緩慢な経過で硬直の現象がみられた。6) 嫌気的条件下で筋肉を18.5時間0°Cで保存するとその後温度を17°Cに上げても硬直は起こりにくいという結果が得られた。