著者
羽田 明子 中村 アツコ 岩見 哲夫 伊元 光代
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.180-185, 1990-05-20

1.RHビーフは官能検査の結果、外観、舌ざわりに関する全項目と、味に関する好ましい味という項目に関して高い評価を得た。2.RHビーフに含まれるα-アミノ酸の量は生肉の約1.3倍、CVビーフの約1.7倍であった。加熱調理中の肉の温度が、60℃以下に保たれているため、酵素によるタンパク質の異化作用により増加したものと推察された。3.^1H-NMRによる水の^1H緩和時間から見たRHビーフの水分存在状態は、外側から中心部までのどの位置でも均一であり加熱が均一に及んでいることを示した。4.RHビーフ、CVビーフ共に重量から見た歩留まりは殆んど同じであったが、肉の可食部からみた歩留まりはRHビーフが100%、CVビーフでは85%であった。5.RHビーフの筋肉組織の変化は、結合組織の呈色の変化、アゾカルミンG呈色顆粒の存在という点で、表層部では多少の組織の変性が認められたが、中心部においては、その変性は比較的軽微であった。