著者
中村 久人
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.55, pp.87-90, 2007-06-29

民営化されたJR東日本の本業はあくまで旅客や貨物の運送業(売り上げで約7割)であるが、本報告では最近注目されるようになった同社の生活サービス事業、特に駅ナカ・駅ビル・ビジネスさらには街ナカ・ビジネスの展開とそれら事業展開の原動力になっているSuicaの導入および拡大に焦点を当てる。生活サービス事業でのSuicaホルダーの量的拡大は、鉄道事業のメインテナンスコストの低減に役立ち、また街ナカでの他社との提携ではハウスカードであるビューSuicaの普及が可能となり、モバイルSuicaによる外部ネットワークとの結合では、携帯電話での乗車券の予約・購入のほかインターネット上でのSuica決済が現実のものとなった。以上のように、Suica導入はJR東日本の企業競争力を著しく高める要因となっており、このような例は他国に類をみない「ビジネスとテクノロジーの共鳴」であり、日本発企業競争力の創成の格好のケースといえるであろう。