著者
堀越 宏一
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

10世紀末から北フランスで建設が始まった初期の石造城砦を調査・研究の対象として、その生成の過程と、城が有していた社会機能を多角的に明らかにした。そこでは、古代ローマの建築様式の影響を受けて建てられた最初期の方形の天守塔が、城砦としての防衛機能を追求した結果、13世紀初頭までに、円筒形天守塔(「フィリップ式天守塔」)となり中世的頂点を迎えた。しかし、城の完成とその結果としての統治の安定の結果、円筒形天守塔に欠けていた居住性を求めて、統治のための公的空間である大広間と城主の居住空間は、城壁に内接する方形の館に移ることとなった。天守塔には、政治的象徴性だけが遺されることとなる。中世の城は、個々の城の軍事的機能と政治ないし統治機能の必要性に応じて、多様な形状を取ることになるのである。
著者
小林 雄一郎
出版者
東洋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

今年度は、前年度に行った基礎研究の結果を対外的に発表し、最終年度の方向性を決定するためのフィードバックを関連分野の研究者より得た。とりわけ、Second International Symposium on EFL Writing in East Asia、Symposium on Second Language Writing (SSLW) 2015、Pan-Pacific Association of Applied Linguistics (PAAL) 2015、The 19th Joint Workshop on Linguistics and Language Processing (JWLLP)、Language in Focus (LIF) 2016などの国際会議での発表を多く行った。そして、本研究で実装した自動採点システムで用いられている言語項目リストを策定した研究者たちから直接フィードバックを得られたのは非常に大きい成果であった。また、単に学習者の言語的パフォーマンスから習熟度レベルを推定するだけでなく、自動的なフィードバックの仕方を想定した統計モデルの策定に着手した。さらに、学習者の母語による習熟度発達過程の違い、タスクによる言語的パフォーマンスの違いなどを考慮したデータ解析の方法論を模索し、試験的な分析を積み重ねた。そして、本研究ではこれまで用いられてこなかった言語的特徴の自動抽出に向けて、様々な語彙多様性指標やリーダビリティ指標を網羅的に算出するためのプログラムや、未加工の英文から様々なテキスト情報を抽出するためのプログラムを実装し、その解説とともに論文形式で発表した。最後に、関連分野の研究者とともに、国内では恐らく初めてとなるライティングおよりスピーキングの自動採点・自動評価に関するシンポジウムを年度末に開催し、主に言語教育関係の参加者から好評を得た。
著者
伊藤 隆二
出版者
東洋大学
雑誌
東洋大学児童相談研究 (ISSN:02885247)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-15, 1999-03

子どもの「嗜虐性」の発生機序を単に人間関係の葛藤や軋轢から解明するだけではなく,現代社会の不平等性にもメスを入れる必要がある。ここに報告した4事例から,いじめる子どもには実存的空虚感,「甘え」への欲求不満,恥の意識の希薄化,それに畏怖の念の消失などが共通していることが示唆されたが,これらは不平等性を助長する社会に生きることから生じたことを解明した。そこで子どもの「嗜虐性」発生を阻止するためには不平等社会を真の平等社会へ転換させる教育を開始する必要がある。その教育は人間の尊厳性を基軸とした平等の精神を社会に取り戻すいとなみであり,それはトランスパーソナルな視点から構築されるものである。
著者
小川 純生
出版者
東洋大学
雑誌
経営論集 (ISSN:02866439)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.81-103, 2011-11
著者
伊藤 隆二
出版者
東洋大学
雑誌
東洋大学児童相談研究 (ISSN:02885247)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-15, 1998-03

子どもの「嗜虐性」の払拭の機序は何か,という問題意識のもとで,「小動物虐待」の悪癖をもつ中学生(男子)のカウンセリング経験を通じて,考察した。その結果,「嗜虐性」の払拭は自分が「spiritualな存在」であることに気づき, そのことを常に覚醒し,自分を生かしてくれている,人間の力を超えたものに感謝し,祈るというspiritual conversionに深くかかわっている,という結果を導き出すことができた。
著者
堀田 真理
出版者
東洋大学
雑誌
経営論集 (ISSN:02866439)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.149-172, 2010-03
著者
近江 宣彦 天野 マキ
出版者
東洋大学
雑誌
東洋大学児童相談研究 (ISSN:02885247)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.69-82, 1999-03

革新自治体である美濃部都政は母親の保育要求に応えて多くの保育関係の単独事業を行ったが,本論文ではその成果と限界についての予備的な考察を行った。美濃部都政においては保育所の量的拡大の点では大きな進歩があり,質的にも拡充を図ったが,未措置児童の増加や特殊保育の不十分な内容など多くの問題点も残していた。本稿では美濃部都政の保育政策の展開を整理しながら,それらの問題点を仮説的に抽出した。
著者
望月 修
出版者
東洋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

物体が水面に衝突する際,水しぶきが上がり,バシャン,ピチャンといった音がすることは身近によく経験する.本研究の工学的目標は生物に見習って(バイオミメティクス)このような水しぶきの飛散を低減すること,生活騒音を低減することである.模型を用いて,先頭形状,後尾形状,表面性状(親水性,疎水性など)の水しぶきおよび発生音に対する影響をレイノルズ数,ウェーバー数,フルード数を系統的に変えて、高速度カメラを用いた計測・観測を行うことによって調べた.高分子ゲル表面上の速度分布計測(PIV法)を行い,水流と壁面材質の干渉を調べた結果、高分子ゲルでも膨潤度が高いとスリップ速度が大きくなることがわかった.すなわち,突入物体表面上の水膜流の速度が速くなるのでスプラッシュを飛ばし易くなる.このことは本研究によって初めて明らかになったことであり,予想と全く逆の結果であった.気泡の取り込みに関しては,物体の突入速度によって,3通りに分類できることを明らかにした.その結果,発生する音も3通りあることがわかる.すなわち,水の音は気泡の音であるから,音の発生は気泡の取り込まれ方に依存する.親水性の表面であると,物体が水中に空気柱を作りやすくなり,それが細かくちぎれることによって,多くの気泡が水中に取り込まれる.先頭形状および後尾形状として半球,円柱,円錐,頭を切った円錐,回転放物体,流線型物体の組み合わせを試した結果,先頭形状は細かな水滴状の飛沫の形成に影響し,後方形状は水中に形成される空気柱のちぎれ,すなわち,気泡形成に影響することを明らかにした.