著者
中村 元弘
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.551-567, 1985-09-25
被引用文献数
1

前報において, 白金箔によって仕切られた同一鋳型内に同時に異種合金を鋳造, 接合させるテクニックを紹介し, 20K金合金, 白金加金および金銀パラジウム合金における接合部付近の組織構造について報告した.今回は, 陶材焼付用金合金, 金銀パラジウム合金およびNi-Cr合金での接合領域を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察するとともに, X線マイクロアナライザーにて分析した.陶材焼付用金合金では, 前報で観察した20K金合金, 白金加金に近く, ほとんど拡散していないような像を呈していた.拡散の見られた元素はAuで, その深度は1μm程であった.金銀パラジウム合金では, 前報同様白金箔に対し偏析を示した.拡散していた元素はCuであり, その深度は6μm程度であった.Crown-Bridge用Ni-Cr合金も白金箔に対し著明な偏析を示し, Mnを中心にCuやNiが最大18μmの拡散を示した.また白金箔側からの拡散も見られ, その値は最大で100μm程に及ぶものもあった.
著者
小西 戎毅 若澤 秀幸 青山 仁子 中村 元弘 山下 春吉
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.456-461, 1986-10-05
被引用文献数
8

堆肥腐熟度の検定のための新しい方法として,花粉管生長テストが使用しうるかどうかを,種子発芽試験,幼植物試験との比較から検討した。家畜ふん木質混合堆肥,バーク堆肥,スラッジ堆肥などの10種類を用い,またそれぞれ堆積期間,ロットの異なる合計113点の堆肥を供試した。堆肥に2倍量の水を加え,1昼夜常温で浸し,抽出し,その液を被検液とした。花粉はチャの花粉を用い,蔗糖8%,ホウ素17ppmを含むpH5.5の基準寒天培地で培養した。花粉管生長テストには2つの方法を用い,また幼植物試験ではコマツナを用い,同様2つの方法を用いた。ウェル法:ペトリ皿の基準観点培地の周囲に等間隔で直径5mmの6つの搾せつ穴(ウェル)をあけ,それに接して中心に向かって直線状(18mm)に花粉を置床した。ついで,被検液をその穴に注入し,20時間培養した。そして,未発芽,不完全生長帯の長さを測定し,完・不完全阻害とした。 培地法:基準寒天培地の作製時に被検液を直接加え,ウェル法同様花粉を6条置床し,培養した。そして,花粉管長を測定した。発芽試験:被検液を10mlペトリ皿のろ紙上に添加し,種子を播種し,4〜5日後その種子根長を測定した。幼植物実験:堆肥を土壌重量の1/2量施用し,全層混合した。そして,種子を播種し,1カ月後採取,乾物重を測定した。これらの4つの方法での測定値間での相関,分布状況,意味を検討した。その結果,花粉管生長テストの2方法は堆肥の腐熟度に対し感度よく応答し,その測定値は2つの幼植物試験による値よりも大変精度がよかった。作物の安全性を中心に,感度と精度から,次の順序で優れると結論した。培地法>ウェル法>発芽試験>幼植物試験 この花粉管生長テストは素材や性質の異なるほとんどの堆肥に適用でき,堆肥に含まれる肥料成分の効果を除外でき,また種子の貯蔵養分による影響の少ない方法である。さらに,堆肥の施用量との関連で検定でき,20時間で検定できる簡易,迅速な方法であり,また花粉の冷凍保存で年中いつでもできる長所を有する。