著者
戸塚 武美 中村 秀明 宮崎 康宜 中村 哲久 鈴木 宏昌
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.248-252, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
5

目的 : 機械的CPR装置 (MCD) が救急救命士の特定行為や予後に与える影響について検証した。方法 : 救急隊が積極的CPRを行った524症例を後方視的に調査し (A) 平均活動時間, (B1) 静脈路確保 (IVA) 試行率と (B2) 成功率, さらにアドレナリン適応123症例の (C) 投与率, (D) 病院前心拍再開率, (E) 予後について, 用手的CPR群 (HCC群) と機械的CPR群 (MCD群) に分け比較検討した。結果 : (A) HCC群13.2分, MCD群13.1分。 (B1) HCC群85.1%, MCD群92.5%。 (B2) HCC群59.6%, MCD群73.8%。 (C) HCC群32.2%, MCD群63.6%。 (D) HCC群13.3%, MCD群30.3%。 (E) 生存退院率はHCC群7.8%, MCD群12.1%。MCD群で有意にIVA試行率 (p<0.05) と成功率 (p<0.01), アドレナリン投与率 (p<0.01), 病院前心拍再開率 (p<0.05) が高かった。生命予後に有意差は認めなかったが, 脳機能良好で退院した7例はすべて病院前心拍再開例であった。まとめ : 現場活動におけるMCDの使用は, 活動時間を延長することなく効率的な蘇生処置を可能にし, 病院前心拍再開率を高めることから, 神経学的機能予後を改善することも期待される。