著者
中村 慎也 岩橋 直人 長井 隆行
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.663-682, 2009-10-15 (Released:2010-01-12)
参考文献数
18
被引用文献数
4 2

本論文では,実世界状況において,ロボットが人と効率的及び相互適応的に共有信念を形成しながらコミュニケーションを行うための,発話生成手法を提案する.共有信念は,互いに共通する経験を基盤として形成され,対話者の心的状態の推定や曖昧な発話の理解に用いられる.提案手法は,ロボットが学習する信念システムとして,ロボットの想定する共有信念を表現する関数に加えて,人とロボットの想定する共有信念の一致度を表現する関数を扱う.共有信念を表現する関数は,確率モデルで表される音声言語や動作,オブジェクトの概念などを指示する様々な信念の重み付け和で表現される.共有信念の一致度を表現する関数は,発話が相手に正しく理解される確率の予測値を出力する.信念システムの学習は,人とロボットのオブジェクトを用いたインタラクションを通してオンラインで行われる.ロボットは,一致度を表現する関数を学習することで人の心的状態の推定と発話の予測理解率の推定が可能となり,環境だけでなく,相手との共有信念の一致度に応じて発話の単語数を増減させるなどの適応的な発話生成が行えるようになる.また,そうした発話によるインタラクションを通して一致度を表現する関数自体を更新し,人とロボットが相互適応的に共有信念の形成を行う.ロボットに学習させる信念システムや,人が行動を誤った場合のロボットによる正解の提示の有無など,様々な条件で実験を行い提案手法の有効性を評価した.
著者
佐藤 悦志 中村 慎也 常盤 祐司
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルプラクティス(TDP) (ISSN:24356484)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.33-44, 2020-10-15

法政大学と富士ゼロックスは,2012年から授業支援システムと紙を連携させることで教育効果を高め教員業務の削減を図るシステムの共創開発を行い,2013年に授業支援ボックスとして商品化した.また商品化後の機能追加や保守においても共創を継続し,現在に至っている.国内における共創開発は現在,様々な業種の企業でも取り組まれるようになってきた.本稿では,これから共創開発を行う企業や大学等への参考になると考え,6年にわたって実施した共創開発の経緯やシステム展開で発生した様々なプラクティスを示すとともに,共創開発の方法や効果について報告する.