著者
河原 芳和 中村 真樹子 阪上 泉
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.827-832, 1999-12-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
18
被引用文献数
1

「無添加」ハムの品質の安定性向上を目的として,亜硝酸塩を添加しない塩漬液に2~3週間塩漬したハムを製造し,塩漬液と製品の理化学的および微生物的検査を行ったところ,次のような知見が得られた.(1) 亜硝酸塩無添加の塩漬液は塩漬前半は低温菌,後半は乳酸菌を中心に亜硝酸塩添加塩漬液に比べ菌数が高く,その影響を受けやすい.(2) 塩漬液の最終pHと製品の歩留まりの間に相関があり,塩漬液pHは製品の品質を予測する重要な指標となる.(3) Leuconostocを塩漬液に加えるとpHと製品の歩留まりが低下するが,Lactobacillus添加の影響は小さい.(4) 亜硝酸塩無添加塩漬液にはB.thermosphacta,グラム陽性球菌,グラム陰性桿菌,乳酸球菌,乳酸桿菌,など多様な菌種が存在するが,乳酸菌を添加すると加えた菌属と酵母を除き抑制される.