著者
大嶋 光子 中村 真規子
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.109-118, 2009

これまでの認知症ケアにはこれといった理念や具体的方法が示されておらず,場当たり的な対処または経験によって伝承されてきた経過がある。その結果,さまざまな形で表れる症状の改善がみられず,一層悪化するという悪循環に陥ることがわかっている。BPSDはケアを写す鏡と言われる。認知症ケアは言語で表出することが困難となった認知症の人の心理的理解を図らなければならない。そのためにもケアする側が他者(認知症の人)の立場を理解し,寄り添わなければならない。その理念または一方法として,人としての尊厳を守るうえからもパーソン・センタード・ケアが有効である。これまでの既存のサービスを提供するといった一方的なケアのあり方だけでなく,共にパーソンフッドを高めあうことが今後のケアの充実につながる。
著者
中村 真規子
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.81-92, 2013-03

東アジアでは, 急速に高齢化が進行している。東アジア諸国は1960年代半以後, 人口ボーナス期に経済発展を遂げた。しかし, 2010年以後は, 人口オーナス期を迎えると予想されている。中でも2015年に人口ボーナス期が終わるタイは, 開発途上の段階で高齢化を迎え, 経済的な成長を目指しながら, 同時に高齢化への対策が求められている。すなわち, 年金や医療サービスへの対応が急務となっている。このように高齢化に直面しても所得水準の低い段階では国家による統一的な社会保障には限界がある。そこで, タイでは, コミュニティのパワー強化によって医療の充実を目指している。西欧的な国家によるサービス提供ではなく, アジア的な共同体を活性化iして行う方向である。そのコミュニティの核となるタンボン・ヘルス・プロモーション・ホスピタルのサービスについて調査を行った。その施設を利用する住民が受けているサービスの満足度, 今度の期待などについて, 特にこれまで満たされていないunmet needを抽出し, サービスを充実させることが目的である。