著者
中澤 克佳
出版者
公共選択学会
雑誌
公共選択の研究 (ISSN:02869624)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.47, pp.43-54, 2007-01-15 (Released:2010-10-14)
参考文献数
20
著者
宮下 量久 中澤 克佳
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.242-258, 2014 (Released:2021-10-26)
参考文献数
13

合併特例債は「平成の大合併」を推進した財政支援策の1つであり,元利償還のうち70%を基準財政需要額に算入できるため,新自治体の負担や地方債残高の累増,財政規律の弛緩といった問題が生じる可能性が指摘されている。そこで本稿では,合併自治体における特例債と一般地方債の発行を,非合併自治体との対比から定量的に検証した。データの整理と推定を行った結果,以下の点が明らかとなった。合併自治体の9割以上が特例債を合併翌年度より毎年発行しており,一般地方債の代替的財源として活用していた。合併自治体は非合併自治体よりも1人当たり一般地方債残高を減少させており,特例債発行に伴う減少(代替)効果が確認された。また,全体的な一般地方債残高の減少を加味すると,特例債増加の影響はほぼ相殺されている。しかしながら,合併自治体の地方債残高は,特例債発行の影響から,非合併自治体と比較して増加傾向にあった。
著者
宮下 量久 中澤 克佳
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.254-275, 2009 (Released:2022-07-15)
参考文献数
18

「平成の大合併」によって市町村合併が多くの地域で急速に行われてきた。さらなる地方分権の推進や交通網整備に基づく生活圏の拡大によって,既存の行政区域を越えて各地域で検討すべき課題が増えると思われる。そして,広域連合やさらなる合併など,複数自治体が相互に意思決定を行う機会も増加してくると予想される。しかし,これまで先行研究で市町村合併の歳出削減効果についての検証は数多くなされているものの,合併のような市町村間の合意形成過程に関する研究は,筆者らの知りうる限り存在しない。そこで,本稿では市町村間の合意形成過程(期間・コスト)に着目して,それに影響を与えうる要因を定量的に分析した。その結果,合併協議地域内の所得格差が大きいほど,合併不成立,もしくは合併協議の長期化をもたらすことや,協議地域の合併インセンティブは財政状況ではなく,特例市などに昇格し,権限や業務が都道府県などから移譲されることで存在することなどが明らかとなった。
著者
中澤 克佳
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.142-159, 2007 (Released:2022-07-15)
参考文献数
18

団塊の世代の退職などを契機として,都市部における高齢化の急速な進展が問題となってきている。また,都市部では施設介護サービスが不足し,地域的な偏在が生じている現状から,高齢者の介護移住が注目を集めている。介護移住は都市高齢世代自身の移動や,「呼び寄せ老人」と呼ばれる親世代の呼び寄せなどが想定される。しかし,わが国では高齢者の移動に対する注目は低く,さらに既存データでは,介護保険制度施行以降の市区町村別・年齢階層別の移動傾向が把握できないことから,定量的な分析が行われていない。そこで,本稿では既存統計資料を組み合わせることによって,東京圏(埼玉,千葉,東京,神奈川の1都3県)市区町村における高齢者の社会増加を定量的に把握し分析を行った。結果として,前期高齢者と後期高齢者の移動性向は大きく異なっており,要介護リスクが高い後期高齢者は,東京圏の特に相対的に施設介護サービスが充実した自治体へ流入していることが明らかとなった。