- 著者
-
中田(中込) かおり
跡上 富美
- 出版者
- 一般社団法人 日本助産学会
- 雑誌
- 日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.1, pp.66-79, 2022 (Released:2022-06-30)
- 参考文献数
- 41
目 的生殖年齢にある20歳代から30歳代の就労男性を対象とし,妊孕性に関する知識の実態と情報ニーズについて明らかにすることである。方 法20歳以上40歳未満(2019年4月1日現在)の男性で,妻やパートナーが出産を経験していない500名を対象とし,2020年3月にウェブ調査を実施した。質問項目は,対象者の背景,妊孕性の知識と情報ニーズ,健康で気になること,妊娠・出産の情報源とした。妊孕性の知識は20項目で,齊藤の「不妊知識尺度13の質問」(2014)を許可を得て一部改変し,研究者らが作成した7項目を加えて使用した。記述統計量の算出,背景因子による層別解析,尺度の信頼性・妥当性の検討を行った。東邦大学看護学部倫理審査委員会より承認を得て実施した(承認番号:2019010)。結 果分析対象は500名,平均年齢29.8歳(SD=5.5),大学卒業以上60.6%,挙児希望有45.6%,パートナー有21.0%であった。妊孕性知識20項目すべてに「わからない」と回答した98名(19.6%)を分析から除外した結果,正答者割合は,平均42.1%(SD=23.9,最大67.7%,最小19.4%)であった。挙児希望(p=.003),不妊相談経験(p=.01)について有意差があり,年齢・最終学歴・パートナーの有無と関連はなかった。妊孕性知識20項目の信頼性・妥当性は確認された。妊孕性に関する情報ニーズがある人は54.4%で,年齢,食生活,生活習慣のニーズが高かった。健康で気になる項目がある人は42.4%であった。妊娠・出産の情報源は,パートナー,インターネット・SNSであった。結 論生殖年齢にある男性の妊孕性知識は,挙児希望や不妊相談の経験の有無により有意差が認められた。今後は男性の妊孕性知識の実態とニーズを踏まえ,情報提供と知識の普及・啓発をしていくことが課題である。