著者
物部 寛子 岡田 和也 中西 わか子 石井 阿弥子
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.97-104, 2017 (Released:2019-02-13)
参考文献数
14

中耳腫瘍は比較的稀な疾患であり、カルチノイド腫瘍、中耳腺腫、神経鞘腫、奇形腫、髄膜腫、グロムス腫瘍などの良性腫瘍から扁平上皮癌、腺癌などの悪性腫瘍が鑑別に挙げられるが、進展した悪性腫瘍を除き、臨床症状や画像所見は非特異的であり、試験的鼓室開放術または腫瘍摘出を兼ねた鼓室形成術を行い、組織検査により確定診断が得られる。今回我々は中耳から発生し、一部鼓膜に突出するカルチノイド腫瘍症例を経験した。病理組織はクロモグラニン、synaptophysin、CD56に陽性であり、またKi-67 2%、核分裂象0個/10HPFよりneuroendcrine tumor G1、カルチノイド腫瘍と診断された。腫瘍は岬角、下鼓室を中心に癒着しており、同部位の骨削開が必要であったが、蝸牛窓窩近くは深く削開は行えず、この近傍は再発に注意が必要と思われた。文献的にも再発は平均11年と報告され、長期的な経過観察を予定している。
著者
物部 寛子 中西 わか子 石井 阿弥子 高岡 美渚季
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.229-232, 2018 (Released:2018-11-13)
参考文献数
15
被引用文献数
2

当科では慢性穿孔性中耳炎の穿孔閉鎖に対し,経外耳道的内視鏡下耳科手術TEES (Transcanal Endoscopic Ear Surgery)と同様に耳後部に切開を置かず,耳鏡アプローチによる耳珠軟骨を用いた鼓室形成術を施行しており,その術式について報告した。TEESが内視鏡を耳内に挿入することで広い視野を得られるのに比較し,本法では外耳道を削開することで穿孔縁の視野を得ている。耳珠軟骨を採取し,その両面の軟骨膜で鼓膜形成を行っており,軟骨による鼓膜形成が必要な症例では採取した耳珠軟骨を用いた。今回対象とした29耳では鼓膜穿孔閉鎖は28/29耳,96.6%で得られた。顕微鏡下にTEESと同等の低侵襲な鼓室形成術が可能であり,特別な経験や器具を必要とせず,取り入れやすい方法と考えている。