著者
北野 正雄 中西 俊博
出版者
日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.758-765, 2006-10-05
参考文献数
20
被引用文献数
2

最近の実験技術の進展によって, 光パルスの伝搬速度(群速度)を光速cより大きくしたり, 逆に自転車なみの速度に減速させ, さらには停止させることすら可能になってきた. このような異常光伝搬は応用面から強い関心が寄せられているのみならず, 波動伝搬の物理を再検討する契機にもなっている. 本稿では電気回路による光の伝搬のシミュレーションを通して, 超光速群速度の物理的意味や光パルス凍結の原理に迫る.
著者
北野 正雄 中西 俊博
出版者
応用物理学会
巻号頁・発行日
pp.1-11, 2003-06

最近, 従来とは異なる光の形態が注目されている.本稿では, 以下の3 つの話題を取り上げて紹介したい. (1)光速を越える群速度と負群速度, (2)電磁誘導透過(EIT) による低群速度と, ダーク状態ポラリトンによる光パルスの停止, (3)メタ物質による負屈折率の実現. いずれも従来の光に対する常識を覆す現象であり, その物理的な仕組みや意味に興味が持たれている. 一方, 量子制御などの新しいタイプの光技術への応用の可能性についても, さまざまな試みがなされている.
著者
小林 弘和 中西 俊博 杉山 和彦 北野 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.90, pp.17-21, 2006-05-26

光電子増倍管の光電面における2光子吸収を利用した光子対検出について紹介する。2光子吸収は時間的、空間的に接近した2光子に対して起こる現象であるため、光子対検出に用いることができる。また、2光子吸収による光電流の入射パワー依存性は、光子の統計的性質に依存し、コヒーレント光では2乗特性、時間相関を持った光子対では線形特性を示す。本稿では、コヒーレント光における光電流の入射パワー依存性の測定により、2乗特性を得たので、その結果を述べ、さらに時間相関光子対の生成実験の結果を述べる。