著者
中西 謙二 田村 啓敏 杉沢 博
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.259-266, 1996-03-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

生タケノコ及び水煮タケノコの揮発成分を明らかにするため,ヘッドスペース法(HSV法)と溶媒抽出法により揮発成分を分離濃縮し,GC及びGC-MS分析を行った.得られた濃縮物は,HSV法が軽い広がりのある香り,溶媒抽出法が濃厚な重い香りを示し,いずれもタケノコの特徴を呈していた.HSV法では生タケノコから23種,水煮タケノコから31種の化合物を,溶媒抽出法ではそれぞれ70種,60種の化合物を同定又は推定した.生タケノコの主要な揮発成分は低沸点部では直鎖状C6アルコール及びアルデヒド類であり,高沸点部ではサリチル酸エステル類であった.水煮タケノコについては,低沸点部が硫化メチル,3-メチルフランで高沸点部が芳香族のアルデヒド,アルコール及び窒素化合物であった.
著者
中西 謙二 桑原 正章
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.251-258, 1996-03-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

チロシン分解酵素を有する乳酸菌を利用したタケノコチロシンの分解技術を開発する目的で,チロシン分解乳酸菌のスクリーニングを行い,分離菌によるタケノコチロシンの分解方法について検討した結果つぎの知見を得た.乳酸菌35株からチロシン分解活性を有する乳酸菌7株を分離した.この中でEnterococcus sp. 4株及びLactococcus lactis subsp. cremoris IFO 3427株に強い分解活性が認められた.Enterococcus faecalis IFO 3971株を添加培養することにより,スライスタケノコで2日間,1/2切断の場合は5日間で肉眼的に認められない程度に白色固形物は分解された.また,Lactococcus lactis subsp. cremoris IFO 3427株についても同等の結果が得られた.乳酸発酵にともなう成分変化は,乳酸と酢酸の増加及び糖の減少は大きかったが,他の成分については大きな変化は認められなかった.