著者
吉岡 徹朗 向山 政志 内藤 雅喜 中西 道郎 原 祐介 森 潔 笠原 正登 横井 秀基 澤井 一智 越川 真男 齋藤 陽子 小川 喜久 〓原 孝成 川上 利香 深津 敦司 田中 芳徳 原田 昌樹 菅原 照 中尾 一和
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.609-615, 2007-07-28 (Released:2008-11-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

症例は, 39歳男性. 36歳時に硝子体出血を機に初めて糖尿病を指摘され, 以後当科で加療されていたが, 糖尿病性腎症によるネフローゼ症候群加療のため入退院を繰り返し, 次第に腎機能が低下した. 2005年5月に腸炎症状を契機に乏尿, 労作時息切れ, 下腿浮腫, 体重増加をきたし, 血清クレアチニン5.8→13.0mg/dLと急激に上昇したため, 血液透析導入目的で当科入院となった. 透析開始後, 積極的な除水にもかかわらず, 心胸比は縮小せず, 透析導入後第6病日以降血圧が低値となり, 第10病日には収縮期血圧で70mmHg前後にまで低下した. 心エコー検査にて心タンポナーデを認め, 心膜穿刺にて多量の血性心嚢液を吸引除去した. 臨床経過, 穿刺液の検査所見, 血清学的検査所見, 画像検査所見から, 尿毒症性心外膜炎と診断し, 心嚢腔の持続ドレナージと連日の血液濾過透析を行い軽快した.尿毒症性心外膜炎は, 透析治療が発達した今日ではまれであるが, 急性腎不全, 慢性腎不全の透析導入期, あるいは透析不足の維持透析患者において, 心嚢液貯留を認める場合, 溢水のほか, 悪性疾患や感染症, 膠原病とともに考慮する必要がある.
著者
簗瀬 正伸 瀬口 理 中西 道郎 渡邊 琢也 中島 誠子 黒田 健輔 望月 宏樹 福嶌 五月 藤田 知之 福嶌 教偉
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.55, no.Supplement, pp.351_2, 2020 (Released:2021-09-18)

背景:心移植後に行う心蔵リハビリテーション(心リハ)によって自然回復以上の運動耐容能を得ることができる。しかしながら、より心リハの効果が得られるレシピエント及びドナーの要因は明らかではない。方法:対象は2010年4月から2016年11月までに当院にて心移植術を受け、監視下の心リハ開始時と3ヶ月後に心肺運動負荷試験を実施した成人41例。レシピエント要因(年齢・基礎心疾患・人工心臓のタイプ・栄養状態など)とドナーの要因(年齢・LVEF・心停止の既往・虚血時間・高用量カテコラミン使用の有無など)による最大酸素摂取量の変化の検討した。結果:レシピエントの平均年齢は37.4歳。男性36名。40例は補助人工心臓補助下に心臓移植を待機し、平均待機日数は1085日であった。最大酸素摂取量は平均18.1から22.7ml/kg/minと心リハ前後で有意に改善した。レシピエント要因では年齢の若い群(50歳未満)と、3ヶ月後のリンパ球数が多い群(1200以上 vs 1200未満、前:20.4 vs 16.8 p<0.01, 後:25.1 vs 21.9ml/kg/min p=0.021)で心リハ前後の最大酸素摂取量が有意に高かった。ドナー要因で最大酸素摂取量の変化に影響を与えるものは認めなかった。結語:心移植後早期から積極的な栄養介入によって最大酸素摂取量のさらなる増加が得られる可能性が示唆された。