- 著者
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中谷 いずみ
- 出版者
- 奈良教育大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2011-04-28
本研究では、1950年代から現代までを分析対象として、反戦平和言説とジェンダー、階級の関わりについて分析を試みた。日本のような政治的イデオロギーを厭う社会では、労働者階級の女性や子どもによる反戦平和の訴えが党派性のない純粋な声と見なされ、メディアの注目を集めることがある。それが政治的な効果を持ち、平和運動を活発化すること場合も多いのだが、そこには問題も潜んでいるのではないか。本研究は女性による反戦平和言説の称揚が既存のジェンダー観に基づくものであり、特に女性らしさを温存させてしまうこと、政治色の排除を正当化してしまうことから、結果的に保守的な社会の温存に寄与する側面があるという結論に至った。