著者
荒川 歩 中谷 嘉男 サトウ タツヤ
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.18-25, 2006-03-30

本研究では,世代の要因と同世代から顔文字付きのメールをどれくらい受信するかの要因の2種類が,顔文字の評価に与える影響について検討した.大学生38名(男性14名,女性24名,平均年齢20.3才)と40才代と50才代の34名(男性17名,女性17名)がメールメッセージの印象評定実験に参加した.また調査対象者には「同世代の親しい人」からどの程度顔文字付きのメールを受け取るかについて回答を求めた.その結果,同世代の親しい人が顔文字を使う頻度が,受信者の顔文字に対する印象に影響を与えることが認められた.しかし,顔文字付きのメールの受信頻度が高い限りは,顔文字の印象に世代による差は認められなかった.これらのことは,普段から顔文字を利用するスタイルが一般的なコミュニティに属しているのかそうでないのかが,顔文字の印象に対して重要な影響をもたらすことを示している.