著者
上村 晃弘 サトウ タツヤ
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.33-47, 2006 (Released:2006-10-07)
参考文献数
42
被引用文献数
2 2

血液型性格関連説は日本で人気のある疑似性格理論の1つで,1920年代の古川竹二の仮説に由来する。現在では多くの提唱者がこの仮説を様々に解釈している。したがってこの説には多様性がある。本研究では,最近の「血液型ブーム」においてTV放送された説を伝統的説明,生物学的媒介,枠組利用,剰余特性付加の4つの型に分類した。伝統的説明型は古川の仮説の後継である。生物学的媒介型は,血液型と性格の関係を進化論や脳科学などの新しい学術的知識を用いて説明する。枠組利用型は単に占いに用いている。剰余特性付加型は提唱者の専門分野で見出された特性を追加した程度である。すべての提唱者の説は論理的妥当性をもたない。
著者
白井 美穂 サトウ タツヤ 北村 英哉
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.40-46, 2011-10

本稿では、人々が凶悪犯罪に対面しながらも公正世界信念(Belief in a Just World)を維持するために有効な加害者の「非人間化方略」として、「悪魔化」と「患者化」の2つを挙げ、それぞれにおける思考プロセスの可視化を目指した。先行研究の結果から、加害者の非人間化が生じる凶悪事例(EVIL)とそうでない事例(BAD)について、参加者によって記述された判決文(死刑/無期)を、複線径路・等至性モデル(Trajectory Equifinality Model: TEM)を援用してまとめた。その結果、凶悪事例の加害者は両判決文において「一般的でない精神構造」を持つ者と仮定され、そこから派生した加害者の特性ラベリング(悪魔/患者)は、両判決の理由として機能していた。本稿の結果は、凶悪事例の加害者に対する死刑/無期判決を合理化・正当化する際、どちらを前提とした場合でも、人々が公正世界信念を維持できる知識構造を有していることを示すものである。
著者
日高 友郎 水月 昭道 サトウ タツヤ
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.11-24, 2014 (Released:2014-08-29)
参考文献数
29
被引用文献数
2 1

本研究では市民と科学者の対話(科学コミュニケーション)の場であるサイエンスカフェでフィールドワークを行い,両者のコミュニケーションの実態を集団研究の文脈から検討した。目的は第1にサイエンスカフェの記述的理解,第2に集団の維持要因についての検討である。結果は以下の2点にまとめられた。第1に参加者の関心の多様性(KJ法による),第2に科学者―市民間の会話は,第三者であるサイエンスカフェ主催者(「ファシリテーター」)が介入することで維持されていたこと(ディスコース分析による)である。集団成員間に専門的知識や関心などの差がありながらも,ファシリテーターの介入によって,両者の「双方向コミュニケーション」が実現され,集団が維持される可能性がある。これはサイエンスカフェにとどまらず,専門家と一般人のコミュニケーションが生起する場の理解,またそのような場を構築していくにあたって示唆的な知見となるであろう。
著者
上村 晃弘 サトウ タツヤ
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.33-47, 2006-08-30
被引用文献数
2

血液型性格関連説は日本で人気のある疑似性格理論の1つで,1920年代の古川竹二の仮説に由来する。現在では多くの提唱者がこの仮説を様々に解釈している。したがってこの説には多様性がある。本研究では,最近の「血液型ブーム」においてTV放送された説を伝統的説明,生物学的媒介,枠組利用,剰余特性付加の4つの型に分類した。伝統的説明型は古川の仮説の後継である。生物学的媒介型は,血液型と性格の関係を進化論や脳科学などの新しい学術的知識を用いて説明する。枠組利用型は単に占いに用いている。剰余特性付加型は提唱者の専門分野で見出された特性を追加した程度である。すべての提唱者の説は論理的妥当性をもたない。
著者
サトウ タツヤ 渡邊 芳之
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.55-58, 2011-07-25
被引用文献数
1
著者
若林 宏輔 渕野 貴生 サトウ タツヤ
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.87-97, 2014 (Released:2017-06-02)

日本には、表現の自由を守る観点から刑事事件報道に対する規制はない。渕野(2007)は、日本の公判前報道(Pre-trial Publicity)の幾つかの内容が被告人に対する予断・偏見を作り、刑事裁判の公正性を阻害している可能性を指摘している。一方で、法務省(2009)は、報道規制の代わりに、裁判官の説示(Judicial Instruction: JI)によって市民は証拠能力のない情報を無視することができるとしている。本研究は、問題が指摘されている刑事事件報道と、それを無視するように促す裁判官の説示の効果の関係について調べた。本研究では、比較のために2つのタイプのJIが準備された。一つ目の説示は、証拠能力のない情報を無視する上での証拠法に関する説明が含まれていた(理論的根拠を含む説示)。そして、二つ目の説示ではこれらの説明を含まずに、これらの情報を無視することだけが指示された(公判のみ参照説示)。実験1では、渕野(2007)が問題ある報道と指摘している2種類-自白・前科情報を含む報道を用いて検討した。結果、いずれの裁判官の説示にも、報道によって得られた証拠能力のない自白の情報を無視させる効果はなかった。さらに実験2では、新聞報道に特有な表現方法の効果と説示の種類の効果について調べた。この時、理論的根拠を含む説示は裁判員を無罪の判断に導いた。これらの結果を踏まえ、刑事事件報道の在り方について議論した。
著者
サトウ タツヤ
出版者
立命館大学
雑誌
立命館人間科学研究 (ISSN:1346678X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.193-203, 2004-03
著者
荒川 歩 中谷 嘉男 サトウ タツヤ
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.18-25, 2006-03-30

本研究では,世代の要因と同世代から顔文字付きのメールをどれくらい受信するかの要因の2種類が,顔文字の評価に与える影響について検討した.大学生38名(男性14名,女性24名,平均年齢20.3才)と40才代と50才代の34名(男性17名,女性17名)がメールメッセージの印象評定実験に参加した.また調査対象者には「同世代の親しい人」からどの程度顔文字付きのメールを受け取るかについて回答を求めた.その結果,同世代の親しい人が顔文字を使う頻度が,受信者の顔文字に対する印象に影響を与えることが認められた.しかし,顔文字付きのメールの受信頻度が高い限りは,顔文字の印象に世代による差は認められなかった.これらのことは,普段から顔文字を利用するスタイルが一般的なコミュニティに属しているのかそうでないのかが,顔文字の印象に対して重要な影響をもたらすことを示している.
著者
サトウ タツヤ
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.26-37, 2011-10

司法臨床は新しい概念であり有望ではあるが曖昧な概念であり本稿ではいくつかの視点から検討を行った。まず弁護士として家事事件を扱う立場、家庭裁判所の調査官の立場、加害者治療の立場、カナダにおける問題解決型裁判所の視察を行った立場からのそれぞれの司法臨床のあり方について検討を行った。次に司法臨床の根本にある問題解決を支えるために必要なシステム論、法と心理の協働のための理論であるモード論について紹介を行った。最後に、司法臨床と類似の考え方である犯罪心理学や治療法学と比較を行うことでその異同を明らかにしつつ、司法臨床の今後の可能性について論じた。
著者
矢口 幸康 サトウ タツヤ 高砂 美樹
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.162-166, 2015-03-30 (Released:2015-05-14)
参考文献数
5

We surveyed the number and the contents of papers published in the Japanese Journal of Psychonomic Society, as well as the society's annual meetings, from 1982 to 2012. Over the course of these 30 years, we found that papers on perception increased in the first decade, followed by an increase in cognitive research, which reflected the shift of the members. Although the time of year and format of the annual meetings were not fixed, a review of the roster showed that greater participation was seen when the meetings were held in fall or winter and/or if they were joint meetings with other societies. The results would contribute to a better management of the society.
著者
日高 友郎 水月 昭道 サトウ タツヤ
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.1208, (Released:2014-03-28)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

本研究では市民と科学者の対話(科学コミュニケーション)の場であるサイエンスカフェでフィールドワークを行い,両者のコミュニケーションの実態を集団研究の文脈から検討した。目的は第1 にサイエンスカフェの記述的理解,第2 に集団の維持要因についての検討である。結果は以下の2 点にまとめられた。第1 に参加者の関心の多様性(KJ 法による),第2 に科学者―市民間の会話は,第三者であるサイエンスカフェ主催者(「ファシリテーター」)が介入することで維持されていたこと(ディスコース分析による)である。集団成員間に専門的知識や関心などの差がありながらも,ファシリテーターの介入によって,両者の「双方向コミュニケーション」が実現され,集団が維持される可能性がある。これはサイエンスカフェにとどまらず,専門家と一般人のコミュニケーションが生起する場の理解,またそのような場を構築していくにあたって示唆的な知見となるであろう。
著者
サトウ タツヤ
出版者
言語文化教育研究学会
雑誌
言語文化教育研究
巻号頁・発行日
vol.16, pp.2-11, 2018

<p>ナラティブという概念の起源や,主として心理学においてナラティブという概念がどのように注目を浴びたのかについて概説する。また,ナラティブモードがもつ論理科学的モードとは異なる機能やこれら2つのモードの相補性について注意を促し,あわせて TEA(複線径路等至性アプローチ)を用いた研究の可能性についても論じていく。</p>
著者
土元 哲平 サトウ タツヤ
出版者
日本キャリア教育学会
雑誌
キャリア教育研究 (ISSN:18813755)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.35-44, 2019-03-31 (Released:2019-04-16)
参考文献数
58

This thesis discusses the significance of an approach to transition research that focuses on the interaction between the individual and society, to inform a greater understanding of the individual’s development throughout the life. Previous conversion studies have used either a developmental or accidental approach to focus on inner psychological processes involved in life transitions, neglecting their social and cultural dimensions. Throughout these studies, the aspect of recent results of the narrative theory approach to qualitative research has been neglected. This study introduces an approach that focuses on the interaction between the individual and society. The approach suggests that when transitions are regarded as a story or sign, they can inform a deeper understanding of career complexity in the present age, and of how transitions spur or prevent individual development. This approach makes an important contribution to the development of transition research. Future research will investigate educational methods based upon this approach.
著者
渡邊 芳之 瀧本 孝雄 サトウ タツヤ 田中 信市
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.28.1.11, (Released:2019-06-18)

日本パーソナリティ心理学会(旧・日本性格心理学会)初代理事長で本学会名誉会員でもある詫摩武俊先生のご逝去については,パーソナリティ研究第27巻1号の訃報でお知らせしたとおりです。訃報記事で予告しましたように,本号では詫摩先生にゆかりのある3人の本学会会員から寄稿を得て追悼特集とし,会員の皆さまとともに詫摩先生を偲びたいと考えます(渡邊芳之)。
著者
神崎 真実 サトウ タツヤ
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.241-258, 2018-09-30 (Released:2018-11-02)
参考文献数
34

本研究は,ボランティアと協働することで不登校者を受け入れてきた全日制高校Bで事例研究を行い,一次的援助サービスとしての学級復帰の支援体制について検討することを目的とした。B高校のオープンスペースで,ボランティアとしての参与観察を37回行い,生徒-教師-コーディネーター-ボランティア間の交流を記録し,各支援者の役割を分析した。結果,ボランティアは生徒の学習面,教師や親との関係,友人関係に関わり,中でも生徒同士の友人関係を支える役割を担っていた。コーディネーターは,ボランティアを支援者として位置づけ生徒の状況や支援目標を伝える役割と,支援者として位置づけず自分らしく関わってほしいことを伝える役割を担っていた。教員は,生徒の状況を見立て,授業参加とオープンスペースの滞在をめぐる調整を行っていた。こうした役割分担により,生徒はボランティアとともに様々な居方でオープンスペースに滞在し,多くは学級へ復帰した。結果をふまえ,各支援者の役割と一次的援助サービスとしての学級復帰について考察を行った。従来とは異なる学級復帰支援として,学内における生徒の多様な「居方」を保障する実践を示唆した。