著者
中野 康一
出版者
鳴門教育大学情報基盤センター
雑誌
鳴門教育大学情報教育ジャーナル (ISSN:18823661)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-6, 2015-03

「道徳の時間」に、その特質を満たしながら、情報教育として規範意識を育成する授業の困難さの原因を探るべく、情報モラル教育のカリキュラムにおける規範意識の概念及び、公開教材「"ウチら"のルールとわが家のルール」を、具体的に検討したところ、道徳の特質を踏まえた場合、十分に規範意識の育成が行えないことが明らかになった。『学習指導要領』と『生徒指導提要』では、「規範意識」は「きまりを守る」ものでしかなく、その原因は学校教育法にあった。実社会の規範以上に、ネット社会の規範は完結したものではなく、日々つくられていくものであるから、単に「きまりを守る」という態度では、実社会に適応する以上に、ネット社会への適応は難しい。情報教育において規範意識を育成する際には、きまりをつくる視点が重要である。