著者
新野 浩隆 鈴木 章 廣野 文隆 中野 美紀 八木下 克博 岡部 敏幸
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.G1741-G1741, 2008

【はじめに】<BR> 静岡県でのメディカルサポートを開始して5年が経過し、今年度の第89回選手権静岡大会(以下、今大会)からは1回戦10球場からのサポートが実現した。<BR> 静岡県高等学校野球連盟(以下、静岡県高野連)の理事長は「傷害予防の一環として各チームにトレーナーが何らかの関わりを持つ組織づくり」を課題に挙げている。その組織づくりの第一歩として、静岡県内の高校野球部におけるトレーナーの現状を把握するためのアンケート調査を、静岡県高野連より依頼を受け実施したので報告する。<BR>【対象と方法】<BR> 対象は、静岡県高野連に加盟し今大会に参加した全120校。大会前の責任教師・監督会議において主旨の説明と協力要請を行い、1回戦、2回戦の先攻後攻を決める際に、試合後のクーリングダウンを実施するかどうかの確認と合わせて口頭による質問を行った。項目は、トレーナーが「いる」・「いない」であり、「いる」と回答があった場合、「何名いるか」、「本日、帯同しているか」、「いない」と回答があった場合、「トレーナーが必要(欲しい)と思うか」とした。<BR>【結果】<BR> トレーナーのいる高校は39校(全高校の32.5%)で、公立で27校(公立全体の27.8%)、私立で12校(私立全体の52.2%)であった。人数は延べ43名で、2名、3名いる高校がそれぞれ1校ずつであり、その他は1名であった。大会への帯同については、39校中22校(56.4%)であった。<BR> 逆に、トレーナーのいない高校は81校(うち、公立70校、私立11校)であり、全体の67.5%であった。さらに、トレーナーのいないチームで、「必要だと思うか」という質問に対しては、「必要」は47校(全体の39.1%)、「不要」は34校(全体の28.3%)であった。<BR> 「必要・不要」の具体的な理由としては、「いてくれればありがたいが、今はそこまで深く考えていない」、「金銭面の問題がクリアできればトレーナーは欲しい」、「責任教師、監督などの指導者が兼任しているから不要」、「居てくれても良いが、そこまでのチームではない」等であった。<BR>【まとめと今後の展望】<BR> トレーナーのいる高校は全高校の約3割で、公立高校より私立高校で割合が高かった。また、トレーナーのいる高校と、いないが「必要」と考えている高校を合わせると全体の7割にのぼった。逆に、約3割の高校でトレーナーを「不要」と考えていることがわかった。<BR> 以前、当部門でおこなったアンケートでは、「自校にトレーナーがいるため、サポートは不要である」という意見があった。普段よりチームに関わっているトレーナーが選手、監督らの信頼が厚いのは当然である。現在、大会中に球場内で選手に関われるのは当部門の理学療法士のみであるため、各校のトレーナーとの連携が必要であると考える。<BR> 今回の調査結果を踏まえ、今後も静岡県高野連と協力し、選手が安心してプレーできる環境および組織づくりに取り組んでいきたい。
著者
中野 美紀
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

現在、有機分子を用いたデバイスの開発が盛んに行われており、分子の電気的特性を調べるために、走査プローブ顕微鏡や微細加工電極が用いられてきた。分子素子の実用化のためには、電流の増幅効果やゲート電圧引加による分子独特の効果が期待できる微細加工電極を用いた三端子素子の作製が望まれる。さらに、電極ギャップ間距離が数nm以下と短い場合には、分子で電極のギャップ間を架橋できるが、大きな電界効果を望めないことが報告されている。この問題を克服するために、絶縁性分子・金属イオンからなる自己組織化多層膜を、数十nmにギャップ間距離を広げたナノギャップ電極に挟み込んだ。本研究では100-400nmのシリコン酸化膜を持つn-Si基板上に斜め蒸着で作製した20-30nmギヤップのナノ電極に多層膜を挟み電気特性を調べた。その結果、ソース・ドレイン間のギャップが狭い場合には、クーロン振動が観察され、単一電子トンネルトランジスター(SET)として働いていることを室温で確認した。しかし、ギャップが広い場合には、クーロン振動は観察されなかった。電極のギャップ距離が均一でないことから、界面の一部、微小ギャップが薄い部分が量子ドットとして働いているために、ギャップ間距離が狭い電極の場合にのみ、SETの現象が観察できたと考えられる。さらに、酸化膜厚を薄くすることで、クーロン振動の周期が短くなり、電界に対する電流の応答性が良くなったものと考えられる。