著者
中野 雅文 新井 潤 夏目 季代久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.341, pp.19-24, 2006-11-03

近年θリズムは記憶機能との関係で積極的に研究されているが、海馬でのβリズムはこれまで研究されなかった。嗅覚学習でのβリズムは、記憶プロセッシングの検索過程に関連していると言われている。青斑核(LC)から生じるノルアドレナリン神経は、海馬に投射する。コリン作動薬であるカルバコールは、invitroにおいてラット海馬スライス様β振動を誘導する。本研究では、ラット海馬スライスCA3領域におけるカルバコール誘導β振動の発生に対するノルアドレナリン(NA)の影響を調べた。カルバコール(30μM)は、周波数15.6±0.3Hz、振幅0.7±0.1mV(mean±S.E.M.;n=24)のβ振動を誘導した。NA(50μM)は、その周波数を有意に増加させたが、振幅には影響しなかった。これらの結果は、LC活性が海馬CA3領域でのβリズムの周波数を調節する可能性があることを示唆している。