- 著者
-
中川 有
中鉢 誠司
- 出版者
- 日本臨床外科学会
- 雑誌
- 日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
- 巻号頁・発行日
- vol.76, no.7, pp.1577-1581, 2015 (Released:2016-01-30)
- 参考文献数
- 9
症例は55歳,女性.皮膚の浮腫と胸壁固定を伴う6cmの左乳房腫瘤を自覚し当院を受診した.浸潤性乳管癌(triple negative)と腋窩および傍胸骨リンパ節転移T4c N3bM0 Stage IIIcと診断し,FEC100×5,ドセタキセル×4を施行後,左乳房切除術および腋窩リンパ節郭清を施行した.病理組織学的には腫瘍径24mm,pN0であったが,化学療法前に傍胸骨リンパ節腫大を認めたことから,胸壁と鎖骨上窩に術後放射線照射(50Gy)を行った.照射6カ月後,発熱と呼吸苦あり,胸部レントゲンで左肺野に浸潤影を,胸部CTで多発する浸潤影とスリガラス様陰影意を認め,放射線療法後器質化肺炎と診断した.ステロイド投与を開始したが,ステロイド減量中に3回の再燃を繰り返したため,シクロスポリンを追加投与した.乳癌術後放射線照射後器質化肺炎にて免疫抑制剤の投与を必要とした症例を経験したので報告する.