著者
中齋 美咲 大月 友 桂川 泰典
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.181-190, 2017-09-30 (Released:2017-10-31)
参考文献数
18

Acceptance and Commitment Therapy(ACT)では心理的柔軟性が精神健康の向上に重要だとされるが、ACTの基盤となる関係フレーム理論(RFT)の観点からこれを支持した実証研究は少ない。そこで本研究はルール制御下の行動変動性に着目し、ACTの心理的柔軟性モデルをRFTの観点から検討することを目的とした。実験参加者に質問紙と行動変動性測定用コンピュータ課題を実施した。分析対象者19名のデータで相関分析と階層的重回帰分析を行った結果、AAQ-IIと行動変動性指標間の相関が弱い一方で、AAQ-IIおよび行動変動性指標はそれぞれGHQ-60と相関がありGHQ-60を予測、説明できる可能性が示された。したがってルール制御下の行動変動性はAAQ-IIと異なり心理的柔軟性の一要素を測定する指標となりうる可能性が考えられ、ACTの心理的柔軟性モデルはRFTの観点から支持されると示唆された。