著者
丸山 育子 稲垣 美智子
出版者
福島県立医科大学
雑誌
福島県立医科大学看護学部紀要 (ISSN:13446975)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.47-55, 2014-03

本研究の目的は,2型糖尿病患者の療養生活における信頼とは何かを当事者の視点から明らかにすることである.2型糖尿病患者11名に半構成的面接と参加観察を行った.質的帰納的分析の結果,以下のことが明らかとなった.糖尿病患者は【得体の知れない糖尿病という病気】という感覚をもつ.それによって発する【糖尿病をもつ生活の不確さの自覚】をし,糖尿病をもつ生活の不確さに対応するために信頼するという行為をする.信頼する対象は3つで【自分の糖尿病をケアする自分】【療養行為が反応する糖尿病をもつ体】【糖尿病治療専門家で人である医師】である.【糖尿病の治療への構え】によって信頼する対象への信頼の比重が規定されている.そして,その時々の【自分の糖尿病をケアする自分】あるいは【療養行為が反応する糖尿病をもつ体】のとらえ方によって信頼する対象への信頼の比重が相対的に変化していた.