著者
志賀 令明
出版者
福島県立医科大学
雑誌
福島県立医科大学看護学部紀要 (ISSN:13446975)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-6, 2014-03

ポストモダンと呼ばれる現代で生活する若者の心理は,それ以前の規律訓練型社会といわれた時代に成長した人とは異なってきているといわれる.最も大きな違いは,わが国における物語性(深層構造)の喪失と,表層主体の現代社会で若者が生きていかざるを得ないというところにある.ここではわが国の時代の変化に伴う文化の変容に焦点をあて考察し,これから看護を志す若い人たちの理解を促し,看護観の形成に寄与したいと考えている.
著者
三浦 浅子 本多 たかし
出版者
福島県立医科大学
雑誌
福島県立医科大学看護学部紀要 (ISSN:13446975)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.27-36, 2014-03

本研究の目的は,口腔内の衛生状態の判定として目視確認による清潔判定には客観性が乏しいと考えたので,口腔内の唾液のATP値測定の有効性について明らかにすることである。健常者10名で14件について,起床時,朝食・昼食・夕食後,就寝前の歯磨きによる唾液のATP 値の日内変動を分析した。今回の結果では,唾液のATP値は起床時と歯磨き前は低く,歯磨き後は高かったが有意差は認められなかった。しかし,就寝前歯磨き後と翌朝起床時の唾液のATP値には有意差(p<0.05)が認められた。歯磨きによって歯垢面のプラークが吐き出されATP値を高くしていること,うがいの仕方によって食物残渣やプラークが残留していることが考えられた。これらは,唾液に含まれるATP値が1日を通して食事の前後で継時的に変化することを示しており,唾液のATP値ふき取り法は,口腔内の常在菌と食物残渣の両方を測定することができ,口腔内の衛生状態を客観化する簡便な方法として有効であることを示唆した。
著者
中山 仁
出版者
福島県立医科大学
雑誌
福島県立医科大学看護学部紀要 (ISSN:13446975)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-9, 2010-03

本論では, 定義文などで用いられるNP is when/where 節(Frustration is when you can't find the car keys. など), および, 一部のNP is if 節の形式を取る表現(The only way she'd believe it is if she heard it from my lips. など) の用法と意味について, 特に語用論的な観点から考察する. 両者は主語NP と従属節が意味的に等価でないにもかかわらず,be動詞によって結び付けられ, 一見等価な関係を持った文として表わされているという点で共通している.これらの表現に対しては一部の文法家から標準的でないとの判断が下され, その意味で例外的なものと見なされてきた.ここでは, 最近の言語資料や辞書記述などを分析することによって, これらの表現が意外にも多く使用され, その使用には特有の効果があること,また,その解釈には語用論的な推論のプロセスが関与していることを明らかにする.
著者
丸山 育子 稲垣 美智子
出版者
福島県立医科大学
雑誌
福島県立医科大学看護学部紀要 (ISSN:13446975)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.47-55, 2014-03

本研究の目的は,2型糖尿病患者の療養生活における信頼とは何かを当事者の視点から明らかにすることである.2型糖尿病患者11名に半構成的面接と参加観察を行った.質的帰納的分析の結果,以下のことが明らかとなった.糖尿病患者は【得体の知れない糖尿病という病気】という感覚をもつ.それによって発する【糖尿病をもつ生活の不確さの自覚】をし,糖尿病をもつ生活の不確さに対応するために信頼するという行為をする.信頼する対象は3つで【自分の糖尿病をケアする自分】【療養行為が反応する糖尿病をもつ体】【糖尿病治療専門家で人である医師】である.【糖尿病の治療への構え】によって信頼する対象への信頼の比重が規定されている.そして,その時々の【自分の糖尿病をケアする自分】あるいは【療養行為が反応する糖尿病をもつ体】のとらえ方によって信頼する対象への信頼の比重が相対的に変化していた.