- 著者
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山口 恵子
稲垣 美智子
- 出版者
- 一般社団法人 日本看護研究学会
- 雑誌
- 日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.2, pp.2_79-2_90, 2012-06-01 (Released:2016-03-05)
- 参考文献数
- 28
本研究の目的は,FBSSの患者が手術や痛みの体験と生活にどのような意味づけをしているのかを明らかにすることである。外来通院のFBSSの患者10名を対象に半構成的面接を実施し,M-GTAで分析した。 その結果,手術や痛みの体験と生活の意味づけには『だましだまし付き合う』と『治療を探す』の2つがあった。『だましだまし付き合う』は,《手術が振り出し》から始まり,手術の結果を【とりあえず納める】,そして《痛みと取引しながらの生活》《痛みをもったまま生活することの弱さからの脱出》と時間の流れとともに生活の幅が広がる意味づけであった。『治療を探す』は,《手術が振り出し》の体験から始まり,痛みや症状が残ったことで【腑に落ちない】と考え,《痛みにとらわれた生活》に留まる意味づけであった。生活の知恵としてできた『だましだまし付き合う』は,今後,FBSSの患者教育の内容として重要であることが示唆された。