著者
宮崎 拓也 丸山 萩乃 土師 知行
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.26-30, 2014 (Released:2014-02-20)
参考文献数
17
被引用文献数
2

vocal cord dysfunction(以下VCD)は吸気時に声帯が内転する奇異性声帯運動により,喉頭で吸気性喘鳴をきたす病態を指す.診断には喉頭ファイバーでの診察が重要であるが,本邦での耳鼻咽喉科からのVCDに関する報告は少ない.今回VCDと診断した症例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は24歳女性,看護師.咳嗽を主訴に2週間前に当院呼吸器内科を受診した.鎮咳薬を投与されたが症状は軽快せず,気管支喘息が疑われ気管支拡張薬の処方を受けたが改善を認めなかった.その後勤務中に突然,喘鳴を伴う呼吸困難感が出現したため当院救急外来を受診した.血液検査,頸胸部CTでは異常所見なく,翌日精査目的に当科紹介受診となった.喉頭ファイバーにて安静吸気時に声帯の奇異運動を認めVCDと診断した.視覚的フィードバックを用いた病態説明,および喉頭リラクゼーションによる治療を行った.1ヵ月後には声帯奇異運動,気道症状ともに消失した.VCDの非認識により気管支喘息と誤診し,誤った治療を行うケースがある.不必要な検査や治療を避けるためには,本疾患を念頭においた診察を行うことが重要である.
著者
南 和彦 丸山 萩乃 土師 知行
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.180-185, 2015 (Released:2015-05-21)
参考文献数
14

チューブ発声法はさまざまな音声障害に有効な音声治療として使用されており,コンピュータによるシミュレーションによると,声道の入力インピーダンスと声門のインピーダンスとを容易に適合させて効率の良い発声を導きやすくさせるとされている.しかし,実際にチューブ発声を行っている状態の声帯振動を観察した報告はわれわれが確認した範囲では,ない.当院では声帯結節に対してチューブ発声法を積極的に指導しているが,同訓練法の声帯振動への影響は不明であった.本検討ではチューブ発声時の声帯振動を電子スコープで観察したところ,通常発声時と比較して声帯振幅が増大する傾向にあることがわかった.これはコンピュータでのシミュレーションのように,チューブ発声が効率の良い発声を導くことを示す一つの証拠となると考えられた.チューブ発声法は自宅で簡便に訓練でき,継続的な訓練が可能である.今後,さらなる症例を重ねて治療効果についても検討したい.