著者
丸山 裕太郎 竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
Japan Society for Software Science and Technology
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.193-201, 2011

人は音楽を奏でるために古くからさまざまな楽器を開発してきた.西洋楽器を例に挙げると,バイオリンとチェロのように共通する形状・構造・奏法をもち,音域の異なる楽器がある.また,2段の鍵盤をもつ電子オルガンと1段の鍵盤しかもたないピアノのようにミクロの構造は同じでも組み合わせ方が異なる楽器も存在する.一方,電気・電子技術の発展に伴い,アコースティック楽器と同様の見た目や演奏方法をもち,電子的に音を生成する電子楽器が多数開発されてきた.しかし,従来の電子楽器は既存楽器の形状をそのまま模写することが主な目的であった.本研究では,楽器を発音や音程決定などの機能要素(ユニット)の集合であると捉え,それらのユニットを自由に組み合わせることで,音域や演奏スタイルの変化に柔軟に対応できるユニット楽器の開発を目指す.ユニットを組み合わせて楽器を再構築することで,楽器の音域増減などのカスタマイズや,既存楽器の特徴を組み合わせた新たな楽器の創造が行える.ユニットの設定は,本研究で提案するスクリプト言語によって柔軟に記述できる.また,本研究ではユニット楽器のプロトタイプを実装し,さまざまなイベントステージで実運用を行った.
著者
丸山 裕太郎 竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.3, pp.1-6, 2009-05-14

ギターは長い歴史をもち,幅広い音楽のジャンルで用いられてきた.しかし,従来のギターはフレット数や弦数の固定された構造をしているため,求められる構造に柔軟に適応できなかった.そこで本研究では,弦の音高を制御する指板ユニットおよび発音のタイミングを制御するピックアップユニットを動的に組み合わせることでさまざまなギター構造に適応できるユニットギター (UnitGuitar) を構築する.UnitGuitar は各ユニットを組み合わせることでさまざまな構造のギターを構築できる.さらに,センサやアクチュエータなど入出力機器を搭載した拡張ユニットを用いて直観的な操作や特殊なエフェクトが実現できる.加えて,UnitGuitar は各ユニットが接続されると接続関係を認識し音色および音高の設定を自動で行う機能をもつ.UnitGuitar の有効性を検証するために 2008 年 12 月 13 日および 14 日に行われた,神戸ルミナリエのイベントステージにてプロトタイプを実運用した.The guitar has been used in various genre of music in its long history. Generally, a guitar lacks structural flexibility to cover variety of playing styles, which has been one of the limitations of performance using it. In this study, we propose UnitGuitar that can dynamically change the structure by dividing and combining finger-plate units that are used for controlling the pitch, and pick-up units that are used for controlling the timing as unit components. The system recognizes the connection relationships among units configure the settings. We developed a prototype of UnitGuitar and used it in the event stage of Kobe Luminarie on December 13 and 14, 2008, which showed the effectiveness of UnitGuitar.